ピッチに立てば必ず結果を出す金崎。ハリルジャパンでもその存在感はさらに増してきている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 アフガニスタン、シリアと対戦する今回の3月シリーズに入る直前のリーグ戦(4節・FC東京戦)で、金崎夢生は2ゴールを挙げてチームに勝点3をもたらす活躍を見せていた。
 
 試合後、鹿島の石井正忠監督は勝利の立役者について次のように評価していた。
 
「攻守にわたってアグレッシブなところが良さだと思う。攻撃に関しては、動き出しが非常に良い。自分のところで一度ボールを収めて、ゴール前に入っていく迫力もある」
 
 クラブでの好調ぶりは、代表の舞台でも変わらない。岡崎慎司と2トップを組んで先発した3月24日のアフガニスタン戦では、1得点・1アシストと結果を出してみせた。
 
「金崎はよく闘っているし、それから存在感がある。本当によくボールを呼び込む、そういった動きをしてくれる。(金崎が決めたチーム5点目は)アカデミックなゴールではなかったかもしれないが、点を取った。それは嬉しい」(ハリルホジッチ監督)
 
 アフガニスタン戦では両チーム通じて最多の9本のシュートを放つなど、79分に途中交代するまで貪欲な姿勢を貫き通した。誰よりもゴールへの意欲を燃やしていたのは金崎であり、だからこそ、勝負が決した後のチーム5点目だったとしても、まるで逆転弾を決めたかのような喜びを表現したのだろう。
 
 ハーフナー・マイクの落としを泥臭くねじ込んだ78分のゴールのほか、58分には長谷部誠からのパスをダイレクトで叩いて、正確な浮き球パスで清武弘嗣の得点をお膳立てしている。
 
 この場面では、金崎の絶妙なポジショニングが光った。センターサークル付近で長谷部が後方からのパスを受けてから前を向くまでの間、ペナルティアークの近くにいた金崎は3歩、バックステップを踏む。ほんのわずかな移動だったが、確実に相手DFのマークを外し、長谷部からのパスコースを作り出してみせた。
 
 効果的なオフ・ザ・ボールの動きは、岡崎の先制点のシーンでも見られた。清武から岡崎へのラストパスが入る直前、金崎のフリーランがゴール前を固めるアフガニスタンの守備陣をかく乱する。岡崎へのマークが一瞬、疎かになり、あのファインゴールにつながった。
 
 まさに石井監督の言うところの“動き出しの良さ”である。巧みに裏を突いてパスを引き出し、足もとに収めてからの力強い突破はもちろん、ボールのないところでの献身的なサポートも、金崎の特長である。
 
 現体制下では2試合に出場(昨年11月のシンガポール戦と先日のアフガニスタン戦)して2得点と、ピッチに立てば必ず結果を出している。指揮官からすれば、これほど信頼できる選手はいない。先述したとおり、アフガニスタン戦では2トップで出場し、シンガポール戦ではCFで起用されるなど、高い適応力を示し、戦術の幅を広げる存在でもある。
 
 2次予選のグループ1位を賭けた大一番、シリア戦でも出場のチャンスはあるはず。前日練習を終えてミックスゾーンに現われた金崎は、すでに戦闘モードに入っているのだろう、「頑張ります」と言葉少な目に足早に去っていった。
 
 ドイツやポルトガルへの欧州移籍を経て、逞しく成長した寡黙なストライカーは、ピッチではそのアグレッシブなプレーで持って雄弁に語ってくれるはずだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)