25日、日本原子力学会廃炉検討委員長の宮野廣・法政大学客員教授が記者会見。福島第一原発事故について「設計への信奉」から「安全の想定外」に真摯に取り組んでこなかったと批判、被害を免れた女川原発リーダーの「見識」に学べ、と強調した。

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2016年3月25日、日本原子力学会廃炉検討委員会委員長を務める宮野廣・法政大学客員教授が記者会見した。福島第一原発事故について、「想定を大きく超える津波により安全系設備のすべてが機能を喪失した」とし、「設計への信奉」から「安全の想定外」に真摯に取り組んでこなかったと批判。その上で「被害を免れた女川原発が防潮堤をの高さを15メートルとしたリーダーの「見識」から学ばなければならない、と強調した。発言要旨は次の通り。

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国際原子力機関(IAEA)は、事故の未然防止から住民避難までを含めた原子力安全の多重性と多様性を与える方策が原子力「深層防護」の仕組みであるとしている。設計・建設の第1層から第3層までの領域で、安全確保すると設計基準を定めている。この設計基準を超える事態が起きれば、第4層の領域に入り、様々な運用により事態を収める方策を講じることになる。

まず炉心崩壊を防ぐ措置を取るが、炉心崩壊が起きても、格納容器の崩壊を防ぎ隔離機能を確保する。それでも、格納容器が損傷することを想定し、第5層として格納容器の崩壊に備え、近隣住民の避難を行い、被害の最小化を図らなければならない。

福島の事故は第一に、想定を超える地震動による津波への対策ができていなかったことである。設計基準の見直しが適切にできていなかったことであり、様々な自然現象への対応について、目を向けてこなかった。さらに、科学の進歩、得られた新たな知見への対応ができていなかったことが問題である。

想定を大きく超える津波により安全系設備のすべてが機能を喪失した。「設計への信奉」から「安全の想定外」に真摯に取り組んでこなかった。その点、防潮堤を15メートルと高くし、被害を免れた女川原発の「見識」から学ばなければならない。(八牧浩行)