2トップと一口に言っても種類は様々だ。4バックに限定しても種類は3つに分けられる。中盤ボックス型4−4−2(4−2−2−2)と中盤フラット型4−4−2。それに中盤ダイヤモンド型4−4−2だ。

 アフガニスタン戦でハリルホジッチが試した布陣はダイヤモンド型。

 だが、そのダイヤモンド型も複数ある。潰れたダイヤモンドもあれば、立ったダイヤモンドもある。中盤の4辺が「3−1」の関係に近いものもあれば「1−3」に近いものもある。厄介なのは、その形を自分で決定することができない点だ。「1−3」は相手の出方次第で「3−1」に変化する。それがこの布陣の特徴と言える。

 奥が深い。思いのほか複雑。にもかかわらず、新布陣を伝える報道は「2トップ」が大半を占めた。「2トップを試しました」。その一言で済ませたニュースもあった。

 想起するのは「3バック」だ。世の中には攻撃的な3バックもあれば、中庸な3バック、守備的な3バックと各種存在するにもかかわらず、その辺りの説明を避け、アバウトに「今日は3バックのようですね」と述べてしまうことと、今回の「2トップ」は同レベルにある気がした。くまなくチェックしたわけではないが、ダイヤモンド型とか、4−3−1−2や4−1−3−2といった領域に言及したものはほとんどなし。話の根幹に関わる重要な話であるにもかかわらず、そうした認識は低いようだ。

 長谷部、原口、柏木、清武。アフガニスタン戦に先発したこの中盤4人の中で、長谷部がアンカー然と構えたことは確かなので、その関係は、1−2−1あるいは1−3になる。守備的MF1人と言われれば、サッカーは守備的に映りにくい。しかし、それは相手がアフガニスタンだからそうなったに過ぎない。相手のレベルが上がるほど、4−1−3−2は4−3−1−2(3ボランチ)に近づいていく。長谷部はアンカーとは言えなくなる。

 フラット型に比べ、ダイヤモンド型は中盤4人の絶対的な幅が狭い。ハリルホジッチも原口、柏木のポジションについて、試合後の会見で、従来の布陣より内側だと述べている。問題になるのは相手ボールの時。何より求められるのは高い位置からのプレスだ。そこで網が掛かりにくい幅の狭い布陣を引けば、相手は抵抗なく前進できる。攻撃的サッカーを貫ける。その先鋒となるのは両サイドバックだ。この攻め上がりをどう抑えるかが、現代サッカーのポイントと言われるが、原口と柏木が従来より内側で構えれば、その対応は遅れる。
 
 サイドバックが活躍するサッカー。頻繁にボールに絡むサッカー。高い位置取りができるサッカー。これを強者に許せば、その攻撃力は倍増する。強者をいかに守備的にさせるか。番狂わせを狙おうとすれば、これこそがこだわるポイントになる。強者より攻撃的サッカーで臨まなければ番狂わせは起こせないーーとの視点に基づけば、この中盤ダイヤモンド型4−4−2は、W杯でベスト16以上を狙う日本代表の、進むべき方向性に相応しくない選択と言える。
 
 アフガニスタンにとっては好都合だったはずだ。少なくとも前半43分まで、0−0で試合が推移した原因は、強者である日本が攻撃的サッカーではなかったからだ。両サイドバックはさして活躍できずにいた。原口、柏木が、従来型である4−2−3−1の3の両サイドより内側で構えたため、攻め上がりが単騎になりやすかったのだ。彼らと協力しながらサイドを崩すという感じではまるでなかった。

 日本は5−0で勝利した。が、本来であれば8−0、9−0で勝てる相手だ。なぜ5点で終わったかといえば、日本のサッカーが攻撃的ではなかったからだ。選手個々の決定力不足を指摘する声もある。GKの好セーブがあったことも事実だ。ハリルホジッチも試合後の会見で、しっかりそこに触れていたが、その極みが、0−0で引き分けてしまったシンガポールとのホーム戦(15年6月)だ。あの試合も、攻撃的サッカーがキチンとできていなかったことが苦戦を招いた原因だった。採用した布陣は4−2−3−1だったが、ピッチに描かれた絵は4−2−2−2に酷似したもの。うっかりしていると真ん中に固まりやすい。すなわち守備的になりやすい。これは日本の持病と言っていいが、それをどう改善するかが、日本代表監督に課せられた使命だと思う。