Q:健康によくないし、家族に嫌がられるので何回も禁煙に挑みましたが、長続きしません。本数は1日20本程度で、吸い始めた20年前から変わりません。意志の力だけで禁煙するのは無理でしょうか。(39歳・不動産業)

 A:意志の力で禁煙に成功する方は確かにいらっしゃいます。しかし、ほとんどの方は何度も禁煙に失敗されているのではないでしょうか。
 やめられない理由は、意志の弱さのせいではなく、タバコの煙に含まれるニコチンのせいだと言われています。ニコチンは麻薬にも劣らない依存性を持つからです。

●禁煙補助薬のススメ
 健康に対する喫煙の悪影響は枚挙にいとまがありません。たとえば肺がん、食道がんをはじめとする各種のがん、慢性気管支炎、気管支喘息などの呼吸器疾患、虚血性心疾患、脳梗塞などが、因果関係について証明されています。
 耳鼻科領域でも、喉頭がんをはじめとするがん、メニエール病などが喫煙と関係があると言われています。また、見過ごせないものに、両親のタバコの煙をお子さんが吸うことによって中耳炎が治りにくくなる、アレルギー性鼻炎が悪化するといったことが挙げられます。
 どうしても喫煙がやめられないのは「ニコチン依存症」という“病気”のため! 喫煙者の7割はニコチン依存症と言われています。そこで役に立つのが、禁煙補助薬を使用することです。
 禁煙補助薬には、貼り薬とニコチンを含まない飲み薬があります。飲み薬はニコチン切れ症状を軽くし、タバコを美味しいと感じにくくする効果を併せ持ちます。
 計5回の禁煙治療をすべて受けた方の8割近くは、治療完了時に少なくとも4週間は禁煙に成功しています。健康保険を使った禁煙治療では、3カ月で5回の診察を受け、費用は約2万円(自己負担額)です。
 1日1箱喫煙するなら、3カ月間の出費は、タバコ代より安くすむ計算になります(詳しくは医療機関にお問い合わせください)。是非この機会に、ご自身と愛するご家族の健康のため、禁煙治療を受けるようお勧めします。

谷山岳司氏(谷山耳鼻咽喉科クリニック院長)
奈良県立医科大学卒。奈良医大附属病院、伊勢赤十字病院等を経て、現在、谷山耳鼻咽喉科クリニック(奈良県香芝市)院長。地域の方々によりよい医療を提供すべく日々奮闘中。