クラウド部門への注力を進めるグーグルは、「TensorFlow」のオープンソース化に引き続き、『Google フォト』の画像認識技術やAndroidフォンの音声認識支援技術などを支えている機械学習技術を公開する。[2016.3.30. タイトルを変更]

「グーグル、画像・音声認識分野のAIをクラウドで公開」の写真・リンク付きの記事はこちら

グーグルは3月23日(米国時間)、サンフランシスコで行われた「Google Cloud Platform Global User Conference 2016」(GCP NEXT 2016)」において、クラウドコンピューティング・サーヴィスの新しいファミリーを発表した。グーグルの最もパワフルなサーヴィスを動かしている機械学習技術を、どんな開発者や企業も利用できるようにするものだ。

つまり、『Google フォト』の画像認識技術や、Androidスマートフォンの音声認識支援技術、そして常に進化を続けるGoogle検索などを支える機械学習技術が公開されることになる。

グーグルは、同社の未来にとって極めて重要だという一連のクラウドサーヴィスに焦点を当てた長時間の基調講演のなかで、画像識別や音声認識、翻訳などの新しいAPIを紹介した。

人工知能(AI)分野では、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッターなどの企業も大きく前進しており、多くが自社の技術を他と共有している。アマゾンは2015年6月、自社の機械学習システム「Amazon Machine Learning」をオープンソース化した(日本語版記事)。グーグルも2015年11月、同社のディープ・ニューラルネットワーク用エンジン「TensorFlow」をオープンソース化した(日本語版記事/文末に動画)。マイクロソフトは、同様の技術に基づいたクラウドサーヴィスを提供している。グーグルなどがオープンソース化を行うのは、大量のデータが欲しいからだという分析(日本語版記事)はこちら

調査会社フォレスターによれば、クラウドコンピューティング市場は2020年までに1,910億ドルの規模になるという。ただし、この市場の現状では、アマゾンが、グーグルやマイクロソフト、IBMを含む競合他社と比べて抜きんでている(日本語版記事)。アマゾンはクラウドコンピューティングで年間約96億ドル売り上げているのに対し、モルガン・スタンレー社が推測するグーグルの同部門の売り上げは5億ドルに満たない。

しかしグーグルは、VMウェアの最高経営責任者だったダイアン・グリーンをクラウド部門の責任者にするなど、クラウド事業に力を入れようとしている。グーグルの運営上級副社長兼フェローを務めるウルス・ヘルツルの予測では、クラウド・コンピューティング部門の売上は、2020年までに主力である広告部門の売上を上回る可能性がある。グーグルが世界最大の広告会社だということを考えると、思い切った予測だ。

ヘルツル氏は、もともとカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授だったが、1999年に8人目の従業員としてグーグルに入社した。それ以降同氏は、世界最大と言えるプライヴェート・コンピュータネットワークや、データセンターのグローバルネットワーク、グーグルの無数のオンラインサーヴィスを支えるマシンをつくる作業に従事してきた。

今回のイヴェントには、ヘルツル氏やグリーン氏はもちろん、グーグルCEOのサンダー・ピチャイや会長のエリック・シュミット、そしてカリスマ的エンジニアのジェフ・ディーンなどが勢ぞろいした。問題は、こうした大物たちが、クラウドと呼ばれるものを利用して、世界の大企業にグーグルの技術をうまく売ることができるのかということだろう。