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 コーセーが展開する化粧品ブランド「エスプリーク」は現在、マスメディアによるメッセージングだけでなく、ファン一人ひとりと向き合うための取り組みとして、共創コミュニティ「Dressing Room by ESPRIQUE」の運営を進めている。取り組みを通して、ファンの熱狂度とLTVの相関関係なども見えてきているという。詳しい話を同社の田嶋氏および湯地氏に聞いた。

■コーセーが進める共創の取り組み

 コーセーが展開する化粧品ブランド「エスプリーク(ESPRIQUE)」は、中価格帯でドラッグストア等を中心に販売される。いわゆるマス向けのブランドだ。同ブランドは今、マスメディアによるメッセージングだけでなく、ファン一人ひとりと向き合うための取り組みとして、共創コミュニティ「Dressing Room(ドレッシングルーム)by ESPRIQUE」(以下、Dressing Room)を運営する。

 ブランド担当と商品企画担当が自らコミュニティを運営し、日々コミュニケーションをとっているという。この取り組みを通して、見えてきたものはあるのだろうか。MarkeZineの連載『事例で探る!デジタル時代の「共創マーケティング」』の筆者、宮本 昌尚氏が同取り組みを担当する田嶋宏充氏と湯地知子氏を訪ねた。

■「一人ひとりと徹底的に向き合う」ための方法を模索
株式会社コーセー コンシューマーブランド事業部 C/B企画部 企画一課 田嶋 宏充氏

宮本:今回の取り組みの目的は何でしょうか?

田嶋:3つの課題を持っていました。1つは「本当にお客様に向き合いたい」ということです。当社には「お客様に一歩近づく」という方針があるのですが、その実現のために現状のマス傾倒型のコミュニケーションに加え、新たな施策を検討していました。CMを視聴したり、店頭で接客を受けたりされたお客様がどう感じたのか、商品を買わなかった理由は何か、リピートし続けるか否か。そのようなことを把握したかったのです。

 2つ目は、お伝えする価値を「モノ」だけでなく「コト」も付与したいと考えていました。エスプリークは2か月おきに新商品が発売されます。つまり、頻繁に新しいCMを流している。これは他社も同様です。この状況をお客様視点で考えたとき、果たして、当社が提供できる価値が伝わっているのか、また、競合差別性が図れているかを問われると不十分かと思います。商品のスペックなどを推すだけでなく、お客様自身の体験につながる事柄を軸にしたアプローチをとるべきではないかと思っていたのです。3つ目がこれまでの定量・定性調査では難しいファンの声をリアルタイムで集めたいという課題でした。

宮本:そこで、「Dressing Room」という共創コミュニティをつくり、One to Oneでのコミュニケーションを行うことにされたのですね。

田嶋:そうですね。しかし、共創だとかOne to Oneという言葉はあまり意識していませんでした。私はもともと営業畑の人間で、2年前にコンシューマーブランド事業部へ異動するまでは11年間ドラッグストアや総合スーパーを担当してきました。お客様が商品を購入する現場を見て、販売担当者のかたの意見を聞いてきた経験から「お客様一人ひとりを知ることの重要さ」を感じていました。

 一方、私たちの通常業務は施策の内容を決めること。コアメッセージやプロダクトバリューを決め、どのようにお客様に伝えるか企画検討する役割です。直接お客様と触れ合う機会は多くはありません。

 ですから、現在の立場で「お客様に一歩近づく」ことを実現するためにも、ブランド担当がお客様の会話の中に飛び込み、同じ目線で語り合うことが重要だと考えました。オンライン・オフラインで実際にファンの皆さんと顔を合わせ、一人ひとりと徹底的に向き合いたかったのです。

伊藤桃子(編集部)[著]、宮本 昌尚[聞]