中国政府は2月、伝統医学である「中医薬」について向こう15年間の青写真を描いた発展計画綱要を発表した。以来、政府系メディアを中心とした「中医薬キャンペーン」が活発化している。日本の医薬品を「爆買い」する現象も、格好の「宣伝材料」として用いられているようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国政府は2月、伝統医学である「中医薬」について向こう15年間の青写真を描いた発展計画綱要を発表した。以来、政府系メディアを中心とした「中医薬キャンペーン」が活発化している。日本の医薬品を「爆買い」する現象も、格好の「宣伝材料」として用いられているようだ。

 中国共産党の機関紙・人民日報は25日、「風邪薬は日本に行って買わなければならないものなのか」とする評論記事を掲載した。記事はまず、「ご近所一家が今年の春節に日本に行った際、親戚や友人がこぞって日本の風邪薬を買って帰ってくるよう頼んできたそうだ」という話を披露。そこから「日本の漢方薬の材料はみな中国から来ているというのに、国産の同じ種類の『中薬』は国内では不人気だ」という話に持って行き、その原因が「中薬」企業やその生産レベルが玉石混交状態で消費者の信頼を得られていない点にあるとしている。

 さらに、泥沼の価格競争によって企業は技術そっちのけでコスト削減に血眼になり、いつまでも付加価値の高い「薬品」ではなく、その「材料」を世界に供給する状況に甘んじているとも解説した。また、昨今中国政府が中薬生産品質管理規範(GAP)を廃止し、厳しすぎる認証のために浪費してきた莫大な人的、物的リソースを、薬品の開発などに回せるようにする措置をとったことを紹介。「強硬な措置とともに、寛容な環境も必要なのだ」と「中薬」産業の改革ぶりを評した。

 技術的な進歩に消極的で、消費者からの信頼が不足しているのは伝統医薬に限った話ではない。ネット上でよく見られる「日本で買うべき『神薬』リスト」を見ると、漢方薬ではないものがほとんどである。「中薬」(伝統医学に基づく薬品)と「西洋薬」(現代医学に基づく薬品)が一丸となって消費者の信頼回復、技術向上に努めるべきところを、わざわざ「中薬」だけに絞って論じている点に「キャンペーン」的なものを感じざるを得ない。

 昨今、中国人が日本の医薬品の「信者」になる理由は、その薬効よりも「使いやすさ」、「使う人への配慮」が見える点であるという言論が目立つようになった。「中薬」産業の改革はもちろん悪いことではないが、本当に日本の医薬品の「爆買い」現象を改めたいと思うのであれば、中薬だ西洋薬だなどと言わずに、「使いやすさ」というクオリティを含めた製品の開発に努めるべきではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)