夏の参議院選挙を控え、来年4月に予定されている消費税10%への増税凍結の流れが強まっている。安倍政権は消費増税凍結の効果を最大にする特大の“バズーカ砲”を用意させている。

 日銀はこの2月に史上初のマイナス金利を導入した。経済の長期予測に定評がある投資ストラテジストの武者陵司・武者リサーチ代表は「安倍首相が消費増税凍結を表明すれば、日銀はもう1回金利を下げるとみている。それをきっかけに株価が急騰し、マイナス金利導入の本来の効果が現われる可能性が高い」と語る。

 官邸は過去最大級の「20兆円」の景気対策の準備にも入った。政府は夏の参院選前に新たな補正予算を打ち出す方針で、首相の経済ブレーンである内閣官房参与、本田悦朗・明治学院大学客員教授は超党派の保守系政策集団「創生日本」の勉強会で、「7兆円の補正予算が必要」とぶち上げた。

「今年1月に決定した3兆円の補正予算に7兆円を追加すると10兆円。それに加えて官邸は来年度予算のうち10兆円の公共事業を今年度前半に前倒しで執行させることを検討しており、総額20兆円の景気対策になる」(自民党幹部)

 消費増税凍結のうえに、スーパー・マイナス金利、そして過去最大級の20兆円景気対策という3発のバズーカ政策が重なれば、日本経済は本格的な回復に向かうはずだ。それによって具体的にどれほどプラスになるかを、専門家の分析でシミュレーションしていこう。

「消費税増税の凍結はGDPを30兆円押し上げ、国民1人30万円の得になる」

 そう語るのは安倍首相の経済ブレーンの1人、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授だ。

「日本経済はアベノミクスによって右肩上がりの成長を始めたが、2年前の消費税率8%への引き上げで状況は一変した。私の試算では、あの3%の増税で消費が失速し、20兆円ものGDPが失われた。

 来年4月に予定通り消費税を10%に上げた場合、その二の舞になるのは間違いありません。しかも、税率の上げ幅2%は前回より小さいが、中国経済失速などのリスクがあるため影響はむしろ大きい。増税で2020年までに新たに30兆円分のGDPが失われると試算しています。

 ざっくりいって、国民1人あたり30万円所得が下がると考えるとわかりやすい。逆に、増税を先送りすれば、景気回復などで国民1人30万円ほど得をする効果が生まれることを意味しています」

※週刊ポスト2016年4月8日号