中国メディアの環球網は24日、「日本の潜水艦が新安保法でフィリピン訪問、東シナ海と南シナ海で中国を挟撃」と題する記事を発表した。海上自衛隊の潜水艦・護衛艦のフィリピンやベトナムへの派遣は、安倍政権が新安保法の施行をアピールするために実施との見方を紹介した。(写真は環球網の24日付報道の画面キャプチャー)

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 中国メディアの環球網は24日、「日本の潜水艦が新安保法でフィリピン訪問、東シナ海と南シナ海で中国を挟撃」と題する記事を発表した。海上自衛隊の潜水艦・護衛艦のフィリピンやベトナムへの派遣は、安倍政権が新安保法の施行をアピールするために実施との見方を紹介した。

 海上自衛隊は練習潜水艦「おやしお」を3月下旬から4月にかけて、フィリピンに派遣する。フィリピンではスービック湾(解説参照)に寄港する。フィリピンでは親善交流や共同訓練を行う予定だ。

 「おやしお」には護衛艦の「ありあけ」と「せとぎり」も同行。2隻フィリピンの次に、ベトナムのカムラン湾にも初寄港する予定だ。

 中国人民解放軍国防大学の李莉教授は海自の潜水艦と護衛艦のフィリピン、ベトナムへの派遣について、安倍政権が新安保法の施行をアピールする「シンボル的事件」と主張。日本は自衛隊を国外に出して防衛面で他国と協力させると同時に、米国との安全分野における新たな協力モデルを構築したいと考えていると主張。

 新たな協力モデルとは、(尖閣諸島など)シナ海の問題と(南沙諸島、西沙諸島など)南シナ海の問題を連動させ、両方面から中国に圧力をかけ、同時に「海における中国の脅威論」との世論を煽ることによっても中国に圧力をかけることと説明した。

 李教授は「おやしお」について、「アジアでは排水量で最大クラスの通常動力の潜水艦であり、性能も先進的」と説明。フィリピンとどのような共同訓練を実施するかにもメッセージが込められるはずと考え、注視しているという。

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◆解説◆
 スービック湾はマニラから北に約100キロメートルの、ルソン島中西部にある湾。米国は1884年から、第二次世界大戦中に日本に占領された時期を除き、1992年までスービック湾に築いた海軍基地を利用した。同基地はアジア最大の米海軍基地だった。

 カムラン湾は、南シナ海に面し、戦前のフランス植民地時代から軍事拠点として利用された。ソ連(ロシア)は1979年から2002年まで、カムラン湾を太平洋艦隊の基地としていた。カムラン湾は良港として古くから評価されており、日露戦争時には日本に向ったバルチック艦隊も、同港に帰港している。

 冷戦時代、スービック湾の米軍基地もカムラン湾のソ連軍基地も、中国を「締め上げる」存在だった。特にカムラン湾の場合については、中国が「ソ連軍やベトナム軍の攻撃対象になる」として広西チワン族自治区のインフラ建設にブレーキをかけるなど、改革開放の経済政策に相当に大きな影響が出た。

 中国の国防関係者にとって、スービック湾とカムラン湾は、「敵側軍事拠点」として強い印象を持つ地名だ。それだけに、海自の艦船派遣については、ことさらに神経質になると考えられる。(編集担当:如月隼人)(写真は環球網の24日付報道の画面キャプチャー)