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仮面ライダー誕生45周年記念映画『仮面ライダー1号』が3月26日に公開となる。本作では、1971年のテレビシリーズ第1作『仮面ライダー』の主人公、俳優の藤岡弘、演じる本郷猛/仮面ライダー1号が再び主役として描かれるストーリーであることが大きな話題を呼んだ。

本稿は、企画の仕掛け人である白倉伸一郎プロデューサーにインタビューを敢行し、<前編>では企画成立までの経緯を、<後編>ではさらに映画の内容に踏み込み、設定・演出上の疑問をぶつけた。

――45周年で『仮面ライダー1号』をやった理由というのはありますでしょうか。50年目という選択肢もあったと思うのですが。

30年目、40年目でやっておけばよかったなというところもあるのですが、お互いに機が熟するまでに時間がかかったというところでしょうか。

最初に藤岡さんにお目にかかったのは2001年。『仮面ライダー』30周年の時でした。15年かけて口説き続けたわけではないのですが、"昭和ライダー"をやっていたプロデューサーやスタッフたちが亡くなってしまっていく中で、折にふれて藤岡さんとお話をして、こちらもお話を聞かせていただいて、主演でお願いできる距離感ができてきたという印象です。

もちろん、50周年というタイミングに向けて、もっと掘り下げて準備をしていくことはできないかという話も藤岡さんからはありました。でも、機が熟したという感じがするんですよね。"45周年"と銘打っているのは建前というのかな。世間に対してであったり、委員会まわりに企画を通すための後付けに近いものです。

――映画の実現が決まった後にも、藤岡さんとの間でプロット(物語の筋)をどうするかというやりとりがあったとお聞きしました。

これには数ヶ月かかっていますね。今回は現行の仮面ライダーである仮面ライダーゴーストががっつり絡んでいますが、これもかなり後から決まったことなんです。最終的に推したのがA〜E案の5パターンぐらいなのですが、話をしていく内にどんどん広がっていっちゃうんですよね。

いくつか持っていけば、「これとこれを組み合わせてこうしよう」というのが決まったらば絞れると想定していました。ですが、藤岡さんも発想の豊かな方なので、どんどん広がってしまい、かえって分散したようなところがありましたね。こちらから絞って決めて持っていけばよかったと後から思いました。

――今回は劇場特典として「仮面ライダーカード」が復活することも話題になっています。

「仮面ライダーカード」というのはドンピシャ世代にとってはめちゃくちゃ思い入れが強いものというか、切っても切り離せないものなんですよ。当時はビデオもなかったので、手元に残るものが記憶とカードだけだったんですね。

"平成ライダー"になってから、カードが出てくる作品が登場するんです。『龍騎』とか『剣(ブレイド)』とか『ディケイド』とか。放送当時は「『仮面ライダー』でカードなんてふざけるな! 商売丸出しだ」という人もいました。でも昔から見ている側からすると、「『仮面ライダー』といったらカードでしょう」と。むしろ、作品と同じくらい思い入れのあるものなんですね。ですので、本郷猛が帰ってくるということは当然「ライダーカード」も帰ってくるという感覚が旧世代としてはあったりします。

――ドンピシャ世代にとっては、やはり本郷猛というのは特別な存在なのでしょうか。

難しいのですが、自分の中では仮面ライダー=本郷猛なんです。1号ではないんですよね。1号というのは2号以降が出てきてからそうなったのであって、袖から見てきた人間にとってみたら、本郷猛は1号ライダーではなくて仮面ライダーなんですよ。どうしても1号と付けないと通じないので、便宜上自分でもそう呼ぶし、映画のタイトルにもしているんですけどね。『セーラームーン(無印)』と言っているような感じに近いかな。

完成した映画で本郷猛を見た時には、震え立つものがありました。一応プロなので、普段は個人的な考えで見たりすることはないのですが、これに関しては仕事を超えたような感はありますよね。

――仮面ライダー1号のコスチュームやサイクロン号のデザインも一新しての復活となっています。

藤岡さんにあらためてご出演いただけるのであれば、今の藤岡さんに合ったコスチュームやバイクが必要だと思いました。それは、藤岡さんご自身と藤岡さん演じるところの本郷猛が経験した45年の歳月を背負っている必要があるので、変身した途端に元に戻るのではいけない。それを進化と呼んでいいのかどうかはわかりませんが、"今"の1号ライダー、サイクロン号であってほしいと思いました。

――本郷猛の帰還、最新ライダーとの共演、そして藤岡弘、さんサイドからの提案とさまざまな要素が盛り込まれた作品ですが、作品を貫く軸とした要素は何でしょうか?

「"今の"藤岡弘、さんが演じる本郷猛を探る」ということについては共通していたと思います。それは、完璧な人間としての本郷猛の"今"を机上で想像したものではありません。藤岡さんは、ご自身が本郷猛という存在を背負って45年間やっていらっしゃいますが、一方で『特捜最前線』やせがた三四郎、探検隊の隊長など、たくさんのものが藤岡さんを形作っています。こちらとしても、藤岡さんの本郷猛ブロックのみを切り取るのは違うなと。それでも、藤岡さんのわりと大きな部分が本郷猛を占めてもいる。そんな中で、お互いに意見をすりあわせながら、まさにその後の「本郷猛、」が映画では描かれています。

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(公文哲)