フレッシャーズ編集部

写真拡大

会社に勤務するようになれば少なからず残業をしなければならなくなるケースが多々あります。ビジネスである以上マイペースで仕事をすることができず、どうしても急な仕事やたくさんの仕事が一度に集中するため、残業しなければ納期などに間に合わなくなるからです。しかし、会社にとって重要な仕事で残業をしてでもやらなければいけない仕事だとしても、残業時間は労働基準法で厳しく制限されています。それでもなお、過労死のニュースは耐えません。働き過ぎて健康を害さないためにも労働基準法が定めている残業時間についての知識をしっかりもっておきましょう。

労働基準法が定める労働時間の原則は1日8時間以内のみ

労働基準法は、原則として労働時間は1日8時間、週40時間以内でなければならないと定めています。また、休日については1週間に1日、あるいは4週で4日以上が必要と定めています。そのため、労働基準法は、原則この時間をこえた労働(残業)、あるいは労働基準法が定めた休日に労働(残業)することを認めていません。では、どうすれば、残業ができるようになるのでしょうか?

■法律が認めていない残業が行われている理由と残業を行うようにする手続き

労働基準法では、厳しい労働時間の制限を定めています。しかし、ほとんどのすべての会社では、残業は行われているのが現状です。残業が必要な理由と残業が認められるための続きについて説明します。

残業が必要な理由は、会社は厳しい競争環境のなかで、新製品や新サービスの開発スピード。あるいは、より多くの顧客サービスを実施し、競争に勝ち抜くために多くの労働時間を必要としています。また、残業代が増えても、より少ない人数で会社経営を行う方が利益が多くなるため残業を必要としています。

そこで、労働基準法は、会社側と労働者側が協定(労使協定)を結べば労働時間(残業)の延長を上限付きで認めています。この労使協定は36協定と呼ばれます。36協定が結ばれていない会社で、労働基準法をこえて残業することは、会社が残業代を支払っていても法律違反になります。そして、労使協定は、口約束ではなく書面で、かつその書面を労働基準監督署に届け出をしなくてはなりません。届けても、労使協定の内容が不適当または不備があれば受理されません。では、36協定で残業時間はどのように定められているのでしょうか?

■36協定で認められる労働時間の延長時間

36協定を結べば忙しいときには無制限に残業をしてもいいわけではありません。残業できる上限時間が厚生労働省の告示で原則として以下の通りに定められています。

通常の、労働者の場合は、以下の期間ごとに上限の残業時間が定められています。

期間 上限時間

・1週間 15時間
・2週間 27時間
・4週間 43時間
・1カ月 45時間
・2カ月 81時間
・3カ月 120時間
・1年間 360時間

例えば、1日に16時間働いて、1日に残業を8時間行っても、その1週間のなかで残業を7時間以内に抑えればいいことになります。同様に3週間続けて45時間(3週間×15時間)の残業を行っても、後、残業をしなくて1カ月が終われば問題ないことになります。ある程度の仕事の忙しさが集中することに対して短期間に残業時間が多くなることが認められています。1日単位の労働時間の上限が定められていないので、極端な場合、1日24時間働いても、残業時間は15時間(昼休みの1時間を除く)です。そのため、その日が含まれる1週間で他の日の残業をしなければ問題がないことになります。ただ、体のことを考慮するとこのような働き方がよいという訳ではありません。

多くの会社は、無理な労働を社員にさせようとしていませんが、一部の会社では人件費を抑えるために無理な労働をさせていることがあります。最悪な場合、無理な残業は過労死にいたります。会社勤務をする社会人は、働きすぎにならないように労働基準法内での残業時間の上限時間を守って働きましょう。