W杯アジア2次予選が大詰めを迎える。日本代表は3月24日(木)にアフガニスタンに5−0で快勝。3月29日(火)にはシリアと対戦する。

 ここまで、日本代表はグループEで勝ち点19を積み重ねて首位。この試合に向けて楽観ムードもある。だが、シリア戦も勝ち点を取りこぼすことなく、グループ1位での突破を目指して、気を緩めることなく臨んでもらいたい。

 今回の2試合は、五輪代表のポルトガル遠征と時期が重なったこともあり、南野拓実(ザルツブルク)、遠藤航(浦和)など、U-23代表とA代表を兼ねる選手の招集は見送られた。そして、ハリルホジッチ監督は就任後初めてハーフナー・マイク(デンハーグ)を招集し、Jリーグで好調の小林悠(川崎)も代表メンバーに加えるなど、新たな選手、新たなフォーメーションを試し、最終予選に向けてチーム力を向上させる意欲をみなぎらせている。

 194cmのハーフナーを招集した意図は明確だ。これまでチームに欠けていた"高さ"に期待しているのだろう。ここまでのW杯アジア2次予選では、引いて守る相手に苦しむケースがあった。今回の2試合に限らず、アジア最終予選でも、引いて守られる試合展開は今後もあるだろう。そうした相手に対して、今季オランダリーグで13得点をマークしているハーフナーの高さは打開策になり得るだけに、チームにフィットするかを試してほしい。

 ハーフナーはザッケローニ監督時代にも何度か日本代表に呼ばれたが、結果を残せなかった。これは、当時の日本代表がパスを回しながら相手を崩して攻撃することを優先し、サイドからのクロスが少なかったことも一因だった。

 しかし、ハリルホジッチ監督の標榜する縦に速いサッカーは、素早く相手陣にボールを運び、クロスを早めに入れるなどしてゴールを狙うスタイル。ハーフナーの武器を生かしやすくなっているだけに、結果を残してもらいたいところだ。

 小林悠の代表入りは、「ようやく」という感じだ。ハリルホジッチ体制になった昨年3月に代表候補になったが、その後はメンバー選出の直前のJリーグで故障を起こして代表入りを逃してきた。それだけに今回にかける思いは本人が一番強く持っているはずだ。

 アフガニスタン戦は本田圭佑(ミラン)がリーグ戦との兼ね合いで欠場し、前線は岡崎、金崎夢生、ハーフナー、小林が起用された。小林は短い出場時間だったが、DFの背後を取る動きや、DFラインの裏への抜け出しを得意とする選手だけに、試合での活躍はもちろん、短い代表活動期間で、他の選手たちとのコンビネーションを高めていってほしい。

 また、次のシリア戦で最大の注目は本田圭佑のポジションだ。ハリルホジッチ監督が本田圭佑をどこで起用するのか。これまで同様に4−3−3の右FWとしてピッチに送り出すのか、それとも1トップとして起用するのか。あるいは、アフガニスタン戦の布陣をそのままに、2トップの一角として起用するのか。

 ハリルホジッチ監督の標榜する縦に速いサッカーにおいて、攻撃で最も重要なポジションはFWだ。ボールを奪取したら前線にボールを預け、そこから展開して攻撃を組み立てる。ゴール前にドリブルで切れ込んだり、スルーパスを狙ったり、サイドからクロスを入れて得点を狙う。そうした攻撃を繰り出すためには、まずはトップの選手がしっかりとボールを収められることが重要になる。

 本田が右FWに入った場合、本田の圧倒的なキープ力を生かせる利点はあるものの、スピードで勝負するタイプではないため、サイドのスペースを有効に使えないというデメリットもあった。そうした問題を解消するのに最も有効な手が本田を1トップに据えることだろう。

 これは、岡崎慎司(レスター)の特長を生かす道でもある。岡崎は中央でボールが出てくるのを待ち構えることが求められる1トップでは、動きが制限されるので持ち味を発揮しにくいタイプといえる。ザッケローニ監督時代のように展開に応じてピッチを動きまわり、サイドからゴール前へと入っていくことで輝きを放つ。実際、所属するレスターでも岡崎のポジションは1トップではない。

 日本代表にとっての悩みの種は、海外組が所属クラブで任されているポジションを、そのまま代表でも任せられない事情があること。本来は各選手が慣れ親しんだポジションでプレーするのがベストだが、同時に、FWの1トップなど現在の日本代表には世界トップ水準の選手がいないポジションがあることも事実だ。それでも、人材がいないからとあきらめるわけにはいかないし、最大限の成果をもたらす策を探し続けることは欠かせない。

 この先に待ち構えるW杯アジア最終予選に向け、ハリルホジッチ監督が日本代表をどうステップアップさせようとしているのか、しっかりと見届けたい。

福田正博●解説 analysis by Fukuda Masahiro