米国のワシントンD.Cで3月31日から4月1日まで核セキュリティ・サミットが開催される。中国からは、習近平国家主席が出席する。今のところ、同サミットは今回が最終回とされている。中国が改めて、日本の核関連物質保有を問題視する主張を可能性がある。

 多くの日本人にとって核兵器は廃絶、あるいは仮にただちに廃絶できないとしても、保有国は数量をできるかぎり削減すべき存在だろう。とすれば、核兵器を保有する中国が、日本の関連物質保有を問題視することについて「お門違い」と思えるはずだ。

 しかし中国にとって、日本が核拡散防止条約加盟国であることは、「日本は自らは核兵器を持たず、同時に米・露・英・仏と中国は核兵器を保有できることを承諾した国」ということになる。国際的な交渉事となれば、中国が核拡散防止条約を大前提に論理を展開するのはあきらかだ。

 中国は米オバマ政権が2014年に、冷戦時代に日本に提供したプルトニウム300キログラムの返還を求めた時にも、中国は敏感に反応した。日本が実験用として米国および一部を欧州から買い付けたものだったが、中国は「日本は核兵器に使うことができるプルトニウムを大量に保有している」と強調。中国政府・外交部の華春瑩報道官は同年11月17日の記者会見で、「中国は日本が保有する『兵器級』の材料物質に極めて強い関心を持っている」と説明。

 さらに中国メディアの中国新聞社は、中国国際問題研究所・曲星所長の「もしも日本が(プルトニウム問題で)合理的な説明をしなければ、国際社会は日本が核物質を持つ真の目的を懸念せねばならない。日本が兵器級の材料物質を保有することは、国際的な核不拡散の体系を破壊するかもしれない。これは、東アジアと世界にとっては深刻な脅威だ」と主張する発言を報じた。

 また、今月(2016年3月)22日に、日本が米国に引き渡す高純度プルトニウム331キログラムを積んだ船が出港した直後に華報道官は、「日本側は早期に真剣に履行すべきだった」などと日本を批判。さらに「日本はまだ、(核関連の)敏感な材料物質を大量に溜めこんでいる。分離されたプルトニウムと高濃度のウラニウムだ。これは明らかに国際社会が関心を持つ問題だ」と主張した。

 中国の主張には、国際社会において「日本は危険な国」とのイメージを強め、日中間の対立がエスカレートした際に自国に対する国際世論を、より有利にする下地づくりという思惑が見て取れる。

 3月31日に米国で始まる核セキュリティ・サミットは中国にとって、「日本の核疑惑」をアピールできるよい機会だ。しかも、直前の3月22日には華報道官は、日本の核物質保有を強く懸念する発言をしている。さらには、今回の同サミットは今のところ最終回とされており、核に関連して日本を「有効に」批判するチャンスが、今後いつ到来するかは分からない。

 したがって、中国が今回のサミットで日本の核関連物質保有を問題にする可能性は、かなり高いと言わざるをえない。

 なお、中国は北朝鮮の核兵器開発についても、強く非難している。ただし、親密な関係を構築してきたパキスタンの核兵器保有については発言を控えている。(編集担当:如月隼人)