小林悠(撮影:岸本勉/ PICSPORT)

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いつもの明るい小林悠はいなかった。ミックスゾーンに現れた小林は思い詰めた顔をしている。

77分、小林は交代出場の準備を進めていた。ピッチの脇に立ち、タイミングを計っていたが、FKをクイックスタートしたため出られない。すると、小林に交代する予定だった金崎夢生がボールを押し込むようにゴールへ転がし、執念の得点を挙げた。

ゲームが再開するタイミングで小林が入ろうとする。だがベンチが押しとどめ、再開後しばらくしたところで小林はピッチに躍り出た。

試合前日の会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はハーフナー・マイク、小林、昌子源などの、自分にとって「新しい選手」を簡単に使うつもりはないと明言した。「A代表は簡単に席を奪われるものではない」とも続けていた。

だからこそ、少しでも長い時間がほしかったのだろう。しかも自分が交代する相手はゴールを取っている。

そこから14分間のプレーの中で、小林は1度だけ決定機を迎える。香川真司のパスに素早く反応したのは小林だけ。だがわずかに届かず、何とかシュートしたボールはサイドネットの外側に飛んでいった。

「もう時間がなかったので、点を取ろうと思ってやったのですが……。最初一回ドリブル突破したときに打てば良かったと今ちょっと後悔しています」

小林が言う場面では、小林の前にしっかりDFがラインをつくっていた。小林はそれを見て右サイドにパスを出したのだが、「行っちゃえばよかったなって」と悔やんでいる。

そんな強引な小林は珍しい。いつもはチームメイトを活かすための動きを欠かさない選手なのだ。その小林がゴールのことだけを考えるほど、得点への熱望があった。代表チームの生存競争の厳しさがそこにはあった。

小林は過去にも代表チームで厳しさを味わったことがある。代表初キャップとなった2014年10月のジャマイカ戦、小林がパスをミスすると、そこから10分間小林がフリーでもパスは出てこなかった。試合後、そのことを指摘すると小林は気付いていて「代表はそういう場です」と答えていたのだ。

だが、そのときからは変化もある。

「今日はしっかり(香川)真司も自分を見てくれましたし、キヨ(清武弘嗣)も試合中に話しかけてくれてました。1回目よりも練習する時間が長くなっているので、自分の良さをわかってくれている選手も増えてきていると思います。そこはポジティブな要素ですね」

そんな前向きな話をしながらも、小林の表情は固いままだった。だが、そんな小林には普段見せない殺気が漂いはじめていた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】

▼ ヴァイッド・ハリルホジッチ監督

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ アフガニスタン戦の先発イレブン

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ ハーフナー・マイク

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 宇佐美貴史

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 岡崎慎司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 岡崎慎司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 岡崎慎司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 金崎夢生

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 金崎夢生

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 原口元気

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 原口元気、岡崎慎司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 香川真司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 香川真司

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 酒井宏樹

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 酒井宏樹、吉田麻也

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 森重真人

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 清武弘嗣

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 長谷部誠

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 長友佑都

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 長友佑都、原口元気

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 柏木陽介

(撮影:岸本勉/PICSPORT)


▼ 本田圭佑

(撮影:岸本勉/PICSPORT)