コーラ飲料が、肺がん治療に欠かせない抗EGFR抗体薬の薬効を向上させる、かもしれない。オランダの研究から。

 抗EGFR抗体薬は、がん細胞を増殖させる分子の働きを抑え、進行を食い止める分子標的薬だ。

 一般には「イレッサ(一般名ゲフィチニブ)」が知られているだろう。そのほか「タルセバ(一般名エロルチニブ)」や慢性骨髄性白血病治療薬「スプリセル(一般名ダサチニブ)」などが相次いで開発、発売されている。

 この抗EGFR抗体薬は「飲み合わせ」に注意が必要で、よく「抗菌薬やグレープフルーツジュースと一緒に飲まないでください」と指導される。

 特に、胃炎や胃潰瘍を治療するH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(PPI)を飲んでいると、胃のpH値がアルカリ性に傾くため、薬によっては有効成分の吸収率が半分以下に落ちてしまう。

 いくら強力な抗がん剤でも薬効が半分では、それこそ「毒にも薬にも」ならない。

 そこで、オランダの研究グループが胃のpH値を逆転させる方法はないかと探索。ようやく見つけた解決法は、コカ・コーラと薬を一緒に飲むというものだった。

 研究はエロルチニブを服用中の28人を対象に行われた。参加者の半数がPPIを服用している。

 最初の7日間は250mLの水で、次の7日間はコカ・コーラ(クラシック!!)250mLでエロルチニブを飲むグループと、逆の順序で飲むグループとに分け、節目ごとに薬の吸収率を検査した。

 その結果、コーラと一緒にエロルチニブを飲むと薬の吸収率が明らかに改善されることが分かった。特に、PPIを飲んでいる人は、水で飲むより4割近く吸収率が上がることが判明している。一方、PPIの非服用者では、さほどの影響は認められなかった。

 研究者は「コーラ1缶で薬効が最大限に高められる」とし、今後、他の抗EGFR抗体薬についても研究していくという。

 何より患者にとって手軽な点がいい。他の抗がん剤でも飲食物で薬効を強化したり、副作用を軽くする方法が見つかってほしい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)