トップ下に抜擢され、期待に応えた清武。パスの出し手と受け手の両方をこなし、多くのチャンスに絡んだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ハリルホジッチ監督がアフガニスタン戦で試した、4-4-2のダイヤモンド型。中央に分厚く選手を配置できるシステムだ。キーポイントになるのは、清武弘嗣が務めたトップ下である。

【マッチレポート】日本 5-0 アフガニスタン

 
 岡崎慎司と金崎夢生の2トップが、相手の最終ラインに張り付いて釘付けにするため、相手CBは前に出て清武に寄せることができない。また、相手ボランチにとって、清武は背中側にいるので、動きを捉えづらい。つまり、“浮いたポジション”ということだ。
 
 この清武を生かせるか否かが、このシステムの成否を計るバロメーターとなる。
 
 前半はアフガニスタンの守備が中央に絞っており、相手2ボランチがバイタルエリアをしっかりと抑えたことで、清武への縦パスのコースがなかなか見出せなかった。
 
 では、相手ボランチをいかにバイタルエリアから引き剥がすか。そのために、この試合では3つの打開パターンが見られた。
 
 ひとつは、サイドハーフがマークを引き連れること。43分に決まった岡崎の得点シーンでは、サイドハーフの柏木陽介が相手ボランチの前でボールをさばき、そのまま走り抜けることで、ボランチのひとりを引き連れた。
 
 ふたつ目は、アンカーの長谷部誠が引きつけること。同シーンで柏木がさばいた後、右SBの酒井宏樹を経由してパスを受けた長谷部は、相手の1トップとトップ下のマークを避けて前へ進み、相手ボランチの前でボールを持った。そこへ、もうひとりのボランチが寄せてくる。
 
 これで、もうバイタルエリアを守るMFはいない。長谷部は寄せ切られる前に、素早く清武へ縦パスを入れる。そして清武は鋭いターンからフリーで持ち運び、岡崎のゴールをアシストした。
 
 そして、3つ目のパターンは、2トップが下りてきて注意を引きつけること。58分の清武自身の得点シーンでは、岡崎が下りてボランチ1枚を引き連れ、さらに長谷部がフリーでボールを持ち、もうひとりのボランチの注意を引いた。バイタルエリアのスペースを空けると、ここでは清武ではなく、金崎へ縦パスを送り、清武は3人目の動きで飛び出す側に。金崎のフリックパスから、清武がゴールを挙げた。
 
 いずれも攻撃の中心にいたのは、トップ下の清武である。
 
 ただし、これらの中央突破はいわば理想形であり、いつも必ず出来るというわけではない。アフガニスタンが中央をコンパクトに守っている前半、ハリルホジッチは柏木をサイドへ開かせ、サイド打開からのクロスを多く狙わせた。その際、中央が分厚いシステムなので、クロスのセカンドボールにも反応しやすい。
 
 相手が格下とはいえ、初挑戦のシステムは、全体的に上々のパフォーマンスだったのではないだろうか。ただし、このシステムの守備面のチーム戦術は、なにも試していないに等しいので、これからだが。
 
 清武は良いプレーをしていた。特に素晴らしいのは、彼が自分の都合だけでなく、他人の都合でプレーする幅を持ち合わせていることだ。
 
 1点目のように自分が縦パスをもらうケースもあれば、2点目のように他の選手に受けさせ、自分は3人目で飛び出す受け手にもなれる。
 
 72分に投入されたハーフナー・マイクの高さを、積極的に使っていたのも清武だった。78分の金崎のゴールシーンで、ファーサイドのハーフナーへ、ふんわりとしたボールを入れて折り返させた。さらに89分のシーンなどは、手前で香川真司がフリーだったのに、清武はあえていちばん奥のハーフナーの頭をねらい、ハイボールを入れた。この選択肢は、ザックジャパンの頃の清武にはなかったのではないだろうか。
 
 この4-4-2のダイヤモンド型システム。柏木や原口元気に対しては、余ったポジションを慣れない彼らに与えたストレステストのようだったが、清武や金崎に関しては、その長所が素直に引き出される仕組みだった。それもハリルホジッチの期待の表われかもしれない。

文:清水英斗(サッカーライター)