ソフトバンク・和田毅【写真:編集部】

写真拡大

米球界から5年ぶり復帰の35歳、米国経てどう変化?

 凄いの一言である。対外試合4試合を投げて、18イニング無失点。防御率はもちろん0.00。四死球もなければ、相手に三塁すら踏ませなかった。

 ソフトバンクに5年ぶりに復帰した和田毅のことである。オープン戦最後の登板となった21日の広島戦(マツダ)では今季最長となる6回を投げた。106球を要し、5安打を許したが、ゼロ行進を続けた。またも、無失点だった。

 和田独特の打者に見えづらい投球フォーム、そして丁寧に低めを突く投球。万全の状態で開幕を迎えることになりそうだ。メジャー挑戦前と変わらぬ安定感ある投球に、他球団も警戒を強めているに違いない。

「松坂世代」の1人で、すでに35歳となった和田。メジャーでは通算21試合で5勝5敗と目立った成績は残せなかった。左ヒジのトミージョン手術も経験し、ケガに泣かされ続けた。それでも、米球界での4年間は、投球スタイルに変化を与えている。

 大きな違いは投球するプレートの位置だ。以前、日本球界でプレーしていた時は、プレートの一塁側を使い、左打者に対して角度をつけるようにしていた和田。当時の武器といえば、独特のフォームから繰り出される切れ味鋭いストレートとスライダー、そしてチェンジアップだった。

投球に「幅」、打ち崩すのは至難の業?

 それが、アメリカから戻った今季はどうだろう。立ち位置は、プレートの中央辺り。低めを突く投球は健在ではあるものの、左右の幅を使うスタイルとなっている。

 これには、アメリカに渡って習得した新たな武器が関係している。カットボールとツーシーム。11年までは左打者から逃げるボールであるスライダーが中心で、角度で言えば、左打者の内から外向きの一方向だった。カットボール、ツーシームを手にしたことで、双方向へ変化させることが可能となった。

 プレート中央から投げることで、カットボール、ツーシームを左右へ投げ分けることが出来る。また、左右両打者に対して、フロントドア、バックドアのボールの使い方も可能だ。11年までは、左打者から逃げていくボールしかなかったため、対策として踏み込まれることもあったが、そうした対策は立てにくくなったと言える。

 かつて140キロ台後半をマークしていた真っすぐも、現在は130キロ台後半から140キロ前半。それでも、オープン戦を見る限りコントロールは抜群で、低めを丁寧に突く投球を打ち崩すのは、至難の業となるだろう。これまで以上に投球の「幅」を広げた和田。3年連続日本一を狙う工藤ホークスにとって、頼もしい存在となりそうだ。