カウンタックに乗るとどうなる?(写真はイメージ)

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 モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、スーパーカー世代憧れのクルマ、ランボルギーニ・カウンタックに乗っていたころを振り返る。

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 実は、5年ほど前に半年間だけカウンタックに乗っていたことがある。カウンタックにもいろいろあるが、私が買ったのは一番安かった最終モデルの「カウンタック・25thアニバーサリー」。1989年製で、購入価格は1500万円だった。カウンタックは新しいモデルほど中古価格が安く、元祖のLP400が最も高い。美術品みたいなものである。

 実際に所有したカウンタックは、どんな感じだったか? 巷には「世界一運転しづらいクルマ」という風評もある。確かに窓はちょっとしか開かないし、車内は非常に狭い。ハンドル、クラッチ、ギア、すべてが重い。が、後ろはまったく見えないこともない。

 カウンタックでバックするときは、あのポップアップドアを跳ね上げてサイドシル(敷居)に腰掛け、直接後ろを見ながら行う“カウンタック・リバース”が有名だが、私はそれに習熟する前に売ってしまった。なにしろ合計5回ほどしか乗らなかったのだから。

 なぜ乗らなかったかと言うと、「不便だから」(笑)。何が不便かと問われたら、「すべて」と答えるしかない。

 速いか? と言われたら、クルマの調子による。なにしろ古いクルマだから、コンディションは千差万別。私のカウンタックは比較的調子がよく、直線では結構速かった。サーキットでは240km/hくらいまで出すことができた。一方足回りはややガタが来ていて、公道を普通に走っていても、それなりにスリリングだった。

 が、カウンタックにとって、もはや速さなどどうでもいいことだ。動くだけで感動するし、駐車場に止めれば人がわんさか集まってくる。そのすさまじい人気ぶりは、長年フェラーリに乗ってきた私にとってもカルチャーショックだった。みんな満面の笑みで近づいてくる。これほど老若男女が喜んでくれるクルマは他にない。売れっ子お笑い芸人になった気分である。

 5年前に1500万円で買い、半年後に1400万円で売った私のカウンタック、現在はなんと3200万円はするという。元祖のLP400はもはや相場不明だが、1億円は下らないとのこと。まさかこんなことになるとは誰も想像しなかった。私はもう二度とカウンタックを買うことはできないだろう。

※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号