香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は22日、中国はネパールに対して、広州港の使用を認める可能性があると報じた。ネパールはインドとの関係悪化で、石油などの輸入が滞って苦境だ。中国は同国に対して、積極的に手を差し伸べようとしている。(イメージ写真提供:123RF。ネパールの首都、カトマンズ)

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 中国はネパールに対して、広州港の使用を認める可能性があるとの見方が出ている。ネパールはインドとの関係悪化で、石油などの輸入が滞って苦境だ。中国は同国に対して、積極的に手を差し伸べようとしている。

 香港メディアの「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、中国を訪問中のK.P.シャルマ・オリ首相は中国の李克強首相と会談するなどで、プロジェクト10件について合意したとの見方を示した。うち、ネパールにとって喫緊の課題と考えられるのが物流ルートの確立だ。

 ネパールでは2015年9月に公布した新憲法に対し、インド系住民が「権利が侵害されている」などと反発。インド政府もネパール国内のインド系住民に同調し、インドからの物流に制限をかけた。

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◆解説◆
 ネパールは北にある中国と、南のインドに挟まれた小さな国だ。これまでは、必要な物資の多くがインドから、あるいはインド経由でもたらされていた。インドからの物流ストップはネパールにとって「首を絞められる」ことに等しい。

 これまでのところ、中国はチベット自治区西部のシガツェ(漢字表記は日喀則)まで開通している鉄道路線を、ネパールの首都、カトマンズなど同国の主要3都市にまで延伸させる考えとされる。

 「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によると、中国はネパールに対して広州港(広東省)の使用を認める考えという。実現すれば、ネパールにとっては、インドの思惑に関係なく世界との物流ルートを確保できる、極めて大きな改善になる。

 一方の中国にとっては、「インド包囲網」を一歩前進させられることになる。中国とインドは現在も「潜在的対立国」と言ってよい。中国はインドとの「顕在的対立国」であるパキスタンと親密な関係を構築することに成功した。スリランカとも接近を図りつづけている。ネパールは、今回の対立が始まるまではインドと密接な関係にあったが、中国はインド-ネパールの対立を利用して、「ネパール取り込み」を加速させたと言える。

 中国の習近平国家主席は21日、ネパールのオリ首相と会談して、「ネパールは中印間を結ぶ懸け橋、絆になれる。われわれはさらに一歩、中国、ネパール、インドの3カ国の協力を模索していきたい」と語ったという。

 仮に、中印関係が緩和に向かっていくならば、習主席の言葉通りだろうが、今のところ、中印関係が劇的に改善する兆しはない。わざわざ「ネパールは中印間を結ぶ懸け橋」と表現したことで、中印間の亀裂の存在を認めたとも言える発言だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF。ネパールの首都、カトマンズ)