22日、今回招集された日本代表が全員揃い、スタジアムでのトレーニングが行われた。報道陣に公開されたのは冒頭15分で、多くの選手はランニング、ウォーミングアップというメニューをこなしていたが、本田圭佑、香川真司、川島永嗣の3人だけは別メニューでの調整となっている

練習終了後、最初にミックスゾーンに現れた本田は、「寒いっすね、まだ」と自分から話し始めた。監督から移動での疲労を指摘され、この日は完全に別メニューになったという。

「だいぶ久しぶりだったので、選手たちとも久しぶりにお互いの考えていることを共有できたらいいですね」

本田が考えを共有しなければいけないのは、選手たち以外にもいる。

今回、招集に当たってヴァイッド・ハリルホジッチ監督は本田に対して「A代表ではFWとしてもっと前でプレーしてほしい。まったく違う役割を要求することになります。彼のポジションはミランよりももっと高い位置。特に背後、オブリックランニングを使って16メートルの中に入っていってほしい、存在感を出していってほしい」というコメントをした。

本田はそのコメントを知っているのだろう。

「逆に楽しいですけどね。一緒というよりは、そんなことできるという自分自身にとっても挑戦だったりするんで、もしかしたら自分にとっても新しい発見があるかもしれないという意味で」

「求められていることがまったく違うというのも、それがさらに期待がかかっているということなのであれば、それは自分にとって非常に充実する要求ではないかなと思っているんですけどね。ポジティブにとらえてます、だから」
監督が本田にいろいろな役割を求めるのは今回だけではない。

3月7日から9日までの国内組合宿で、ハリルホジッチ監督は、縦に速いサッカーを指示した。ボールをもらった選手がキープしていいパスを出すより、パスを受けたらまず前にパスできる選手がいるかどうか。その点を監督は強調していた。

割を食ったのはキープ力があり、スルーパスが出せる選手だった。彼らの特長を生かすより、もっと単純に前にボールを運ぶことを指揮官は求めたのだ。

過去に本田も同じ指示を出されていた。2015年6月の合宿では周りの選手が本田に当てて時間を作ってもらい、前に飛び出そうとする場面で、監督からは本田に対してもっと単純にパスを前に出すよう「ホンダ!」というかけ声が飛んでいた。

そのとき、本田はこうコメントしている。

「自分が認識している自分の良さの枠を、今超えようとしている作業の段階で、自分が認識している自分の良さだけに捕らわれようとはしていなくて」

「確かにそれは怖いことでもあるのですが、新しいことに対して何でもやっていくということです。普通ならそうじゃないのでしょう。いかに自分の持っているものを生かすかということになるのでしょうが、新しい良さができればと思っています」

意欲的に「もう少し裏に飛び出すとか、新たな動き出しとか、ダイナミックな動き出し」への挑戦を口にしていたのだ。今回はさらに別の役まで求められることになる。

日本代表の主力となったのちも、本田は常に変化を求め続けられてきた。そしてその要求を本田は「楽しい」という。今回も「新しい本田」が見られることだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】