中国語ニュースサイト鳳凰網は22日、中国が尖閣諸島を取り戻せなかったのは、「第二次世界大戦時の終戦直前も、中国軍が日本軍にコテンパンに負けていたからだ」と主張する文章を発表した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国語ニュースサイト鳳凰網は22日、中国が尖閣諸島を取り戻せなかったのは、「第二次世界大戦時の終戦直前も、中国軍が日本軍にコテンパンに負けていたからだ」と主張する文章を発表した。日本側の見解や発想とは異なるが、若者らを中心に日本に対する排他的民族主義が噴出する現象には懸念を示した。フェニックステレビは香港に拠点を置くが、論調は中国大陸寄りで経営者も人民解放軍出身であることなどから、事実上の中国メディアと理解してよい。

 文章は、第二次世界大戦時の日本と中国の国力には圧倒的な差があり、日本軍は戦争後半には太平洋戦線では米軍に追い詰められたが、中国大陸では1944-45年の大陸打通作戦でも、国民党軍を総崩れにしたなどの例を挙げた。

 そして、日本軍を屈服させたのは米軍であり、だから米国が戦後、日本に対する賠償を放棄すると、ソ連も英国も中国も、日本に賠償を求めることはできなくなったと主張した。

 文章は尖閣諸島の問題にも言及した。「戦勝国である中国も(自軍が日本に勝利したわけではないため)、日本に対してほとんど発言権を持たない。(日清戦争の結果として)喪失した領土の権益を回復することは難しくなった」と主張。毛沢東と周恩来もだからこそ、1972年の国交樹立の際に同問題を「据え置き」にしたのであり、次の指導者になったトウ小平も、(毛沢東らによる)この決定を踏襲したと論じた。

 文章は、多くの中国人、とりわけ若者が「中国が戦勝国だったが島を取り戻せなかった」という歴史的事実を知らず、「現在も日本に見くびられている」と誤解していると論じた。

 文章は、歴史問題などについて「中国のプラス面だけ、あるいは一面的な宣伝教育は、若者の精神に非常に脆弱(ぜいじゃく)な面をもたらす」と指摘。教え込まれた内容と現実が合致しないとたちどころに、「過激で偏狭な民族感情に満ちた『憤青(怒れる若者)』が大量に出現すると論じた。

 一方で、「歴史における中国のプラス面」を宣伝教育しなければ、「過去に奮闘した先輩を見くびり、外国に媚びたり民族面における虚無主義が発生する」と指摘。現在の中国では、「憤青」の大量出現と「民族虚無主義」の両極端の考え方の人が増えつつあると懸念した。

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◆解説◆
 上記文章は尖閣諸島の問題で、日本側とは異なる見解にもとづいている。ただし、過去の出来事を判断する際には「客観的な資料/史料が必要」とする主張そのものについては、評価することができるだろう。

 なお、上記文章は中国共産党広東省委員会が主管する雑誌「同船共進」が2013年9月号で掲載した記事の採録。中国では歴史問題などについて、しばらく前に発表された文章が、他のメディアに採録される場合がある。多くの場合、共産党の意向が背景にあると考えてよい。上記文章は、南京事件や尖閣諸島の問題について中国の従来の主張を変更する考えは毛頭ないが、主張を早急に押し通す考えはないとも読める。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF.COM)