絶え間なく進化を続けるタイヤは、クルマの中で唯一路面と接している機能パーツであり、その接地面積はハガキ大程度……。というような説明をよく耳にするかと思います。

1

さらに、グリップやウェット路面への対策をはじめ、スタッドレスタイヤやレーシング向け、ミニバンや軽自動車など用途や車種に応じたタイヤ、燃費性能向上に貢献したり、減衰も担ったりするなど、その役割は非常に大きく、乗り心地やハンドリングなどシャーシの性能を大きく左右するケースも珍しくありません。

次世代タイヤといわれているタイプも各メーカーから提案されていますが、グッドイヤーがジュネーブモーターショーで披露したのは「自動運転向け」を標榜する次世代タイヤ。

ついに「自動運転向け」も提案されたのか、そんな感想を抱く方も多いと思いますが、どんなタイヤなのでしょうか。見た目もテニスボール?のようですが…

グッドイヤーが掲げた新しいコンセプトは「Eagle-360(イーグル・サンロクマル) 」と「IntelliGrip(インテリ・グリップ)」のふたつ。

「Eagle-360(イーグル・サンロクマル) 」は球状に設計されていて、「機動性」、「通信接続性」、「バイオミミクリー(生態 模倣性)」が特徴。

クルマやタイヤの性能で「機動性」と聞くと、旋回性能やハンドリングなどの高さ、シーンを問わない俊敏な動きを思い浮かべそうですが、同タイヤでは「すべての方向に移動できる多方向性により、運転者および同乗者の安全性が向上。さらに、隙間のない駐車場や街中の狭い道路など限られたスペースへも対応が可能」と、まさに単語の意味どおりの機動性を提案しています。

「通信接続性」は「埋め込まれたセンサーが車両制御システムおよび周りの車両に対して、路面状況や気象状況を伝達することにより安全性を高め、さらに空気圧&トレッド監視システムがタイヤの摩耗状態を管理し、走行距離を伸ばす」というもの。

空気圧監視システム(TPMS)はお馴染みですし、トレッド監視システムも他メーカーがコンセプトとして提案していますが、路面や気象状況を車両と周囲の車両にも伝える、というのは次世代タイヤであることを感じさせます。

「バイオミミクリー(生態 模倣性)」と聞くと、昆虫や植物などの模倣性、擬態などを想像しますが、自然界からヒントを得たトレッド設計とのことで、「ブレインコーラル(ブレインコーラル:脳サンゴ=見た目が脳みそ状であることから名がついたサンゴの一種 )」のパターンを模倣し、 天然のスポンジのように作用するものだそう。

具体的には、ドライ路面では硬くウェットな状態では柔らかくなる設計により優れた運転性能を発揮。またハイドロプレーニング現象の防止にも寄与するとしています。

ほかにも、磁場浮揚(リニアモーター)方式という、一見するとタイヤの常識を覆すような技術も盛り込まれています。こちらは「タイヤと車両の接点に磁気浮揚方式を採用することで、スムーズで静かな乗り心地を楽しむことができる」という考え方。

もうひとつのコンセプト「IntelliGrip(インテリ・グリップ)」は、先進センサー技術と専用設計のトレッドにより、路面状況や気象状況を感知するほか、タイヤと車両の状況をリアルタイムに評価する最先端のアクティブ・ウェア(耐摩耗性) 技術が採用されています。

さらに「カスタム・アルゴリズム」として、独自開発のアルゴリズムにより、空気圧やタイヤの温度といった変動要素を定義づけているほか、路面状況にフレキシブルに対応。

タイヤが「雨で濡れている」あるいは、「滑りやすい」と感知すると車載システムが状況に合わせてスピードを調整。それにより、制動距離の短縮、確かなコーナリング、操縦安定性の向上、さらには衝突防止機能のサポートも実現するそうです。

また、現在のタイヤも担っていそうな、車両技術適合として、多くの自動車メーカーと協働し、横滑り防止装置(ESC)、ブレーキ制御システム、サスペンション制御システムなどの機能との関連性を強化。自動車メーカーのニーズに適合させるタイヤ作りを推進していくとしています。

これらのコンセプトが具現化されれば、気象状態なども加味しなければ成立しそうにない自動運転の高度化に貢献しそうな気がします。

(塚田勝弘)

自動運転に対応する次世代コンセプトのタイヤがついに登場!?(http://clicccar.com/2016/03/23/361097/)