中国で、正規の流通経路を経ずに販売されていた「違法ワクチン」の問題が拡大した。流通時に温度管理もしておらず、専門家は「接種したら死亡する可能性がある。これは殺人だ」などと驚いた。これまでに、中国に31ある省レベル行政区画のうち24カ所で販売されていたことが分かった。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国で、正規の流通経路を経ずに販売されていた「違法ワクチン」の問題が拡大した。流通時に温度管理もしておらず、専門家は「接種したら死亡する可能性がある。これは殺人だ」などと驚いた。これまでに、中国に31ある省レベル行政区画のうち24カ所で販売されていたことが分かった。

 山東省済南市警察が2月2日になり、医薬品に関する犯罪で、2015年4月28日に容疑者の身柄を拘束したと発表したことで、事件があったことが明らかになった。当初はワクチンなど生物薬品25種類を販売して70万元(約120万7000円)を得ていたなどの情報だったが、その後になって中国全国規模で広がる「大事件」だったことが明らかになっていった。

 容疑者の中心的人物と見られているのは女性で、医科大学を卒業したが就職できなかったために、薬剤師である母親と組んでワクチンの違法な「横流し」を始めたという。これまでにワクチンの横流しで3億1000万元(約53億4000万円)を売り上げていたとされる。

 また、製薬会社9社がワクチンの横流し応じていたとされる。同違法行為についての容疑者側の支出は2億6000万元(薬4億8000万円)とされる。製薬会社は相当な金額を、違法な横流しに加担したことで得ていたことになる。

 ワクチンが販売されていた地域は追加発表されていき、3月21日現在では、違法に流通していたワクチンは全国24の省レベル行政区画で販売されていたことが分かったという。

 流通時に温度管理はしていなかった。中国メディアの新浪網によると、北京大学医学部免疫学科の王月丹副主任は「ワクチンは摂氏2-8度の間で保管せねばならない。温度管理が適切でなければ、まず効力を失ってしまう。狂犬病のように激烈な症状を示す病気のワクチンの場合、効果がないだけでなく、接種された人が発症して死亡する可能性がある」と説明。同事件を「殺人だ」と評したという。

 容疑者のうち母親は、2009年にも同様の罪で有罪判決を受け、懲役3年、執行猶予(観察期間)5年の判決を受けていた。執行猶予期間内に同種の、しかも極めて大規模な犯罪行為を繰り返していた疑いがもたれている。

 容疑者がどのようなワクチンを、どの程度の数量さばいていたかは、明らかにされていない。

 IT関連情報サイトの中国通信網は、医薬品にはバーコードのタグがつけられているので、各医療機関は流通経路を検索できると指摘。実際には多くの医療機関が流通経路のチェックをしていないので、非正規に流通したワクチンを見抜くことができなかったと指摘した。

 同指摘が事実ならば、中国は「消費者の安全」を確保するシステムを構築しながら、現場で運用しなかったために無力だったことになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)