ケイティ・ペリーはヒラリー命、大統領候補たちのキャンペーンソングが面白い
 いまだ止まぬトランプ旋風で盛り上がるアメリカ大統領選ですが、それぞれの集会でどんな音楽が流れているか気になったことはないでしょうか。というのも、キャンペーンで使用する曲から、登壇する際のテーマ曲に至るまで、候補者それぞれの戦略が反映されている点で、実に興味深い要素なのです。

 そうした関係について考察した記事が、イギリスのガーディアン紙・電子版(※)に掲載されていました。政治的な立ち位置や人となりを有権者に知らせるツールとして、重要な役割を果たす音楽。というわけで、各候補者に対する分析を見ていきましょう。

◆勢いが止まらないドナルド・トランプ(共和党)

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 「私の曲は使ってくれるな」と語ったアデルをはじめ、リベラルなミュージシャンから総攻撃を受けているトランプ氏。それでもキャンペーンソングは、「Brown Sugar」(ローリング・ストーンズ)、「オペラ座の怪人」、そしてハルク・ホーガンでもおなじみの「Real American」(リック・デリンジャー)と様々。

⇒【YouTube】Hulk Hogan - A Real American (WWE Music Video) HD http://youtu.be/-paa3wwGWww

 しかし、いざ登壇という場面では、パヴァロッティの歌う「誰も寝てはならぬ」を流すのだそう。ガーディアン紙ワシントン支局長のダン・ロバーツ氏は、その姿を「悪びれる素振りすら見せないファシスト」と評します。しかし、それが同時にトランプ氏のアウトサイダー的な立ち位置を鮮明に映し出すあたり、計算された選曲なのかもしれません。

⇒【YouTube】Pavarotti “nessun dorma” http://youtu.be/RdTBml4oOZ8

http://youtu.be/RdTBml4oOZ8

◆トランプよりヤバイかも? テッド・クルーズ(共和党)

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=481452

 キリスト教原理主義と言われるクルーズ氏は、音楽についてもブレることはない様子。保守的なカントリーソングに、クリスチャンポップと呼ばれるジャンルからアーロン・ティッピンやオーストラリアのニュースボーイズという、日本ではなじみのないアーティスト名が並んでいます。クルーズ氏はこれらを繰り返し流すのみで、有権者の興味をそそるような作戦は取っていないようです。

⇒【YouTube】Aaron Tippin - You’ve Got To Stand For Something http://youtu.be/Z_s-Qk07KxA

◆若者に熱く支持されるバーニー・サンダース(民主党)

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 リベラル層の若者から熱狂的な支持を集めるサンダース氏は、自らも87年にフォークソングのアルバムをリリースしたこともあるほど、音楽への造詣が深い人物。キーワードは、ずばり“革命”。「Power to the People」(ジョン・レノン)、「Talkin’ Bout a Revolution」(トレイシー・チャップマン)、「The Revolution Starts Now」(スティーブ・アール)と、徹底しています。

⇒【YouTube】Tracy Chapman -Talkin’ Bout A Revolution (Live and Acoustic 1988) http://youtu.be/f0TdGGpOpVE

 加えて、今年1月にデヴィッド・ボウイが亡くなってから、ステージを去る際に「Starman」を流しているとのこと。ボウイの持つ、“革命的でカリスマ的な反逆者”というイメージと重ね合わせる戦略なのですね。

⇒【YouTube】David Bowie - Starman (1972) HD 0815007 http://youtu.be/4B5zmDz4vR4

http://youtu.be/4B5zmDz4vR4

◆セレブには一番人気、ヒラリー・クリントン

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=481454

 候補者の中で、最も多くのセレブから支持を集めるのがクリントン氏。ニュース映像でも、たくましいケイティ・ペリーとともに気勢を上げる姿を目にしたことがあるかもしれません。

⇒【YouTube】Katy Perry - Roar (The PRISMATIC WORLD TOUR LIVE) http://youtu.be/Rh47oTsRf-w

 しかし、「それはうまくいかないのではないか」と疑問を呈するのが、ジョージアカレッジのゴーゼラニー・モスタク助教。そもそもヒラリー氏の支持者は中年の女性。なのに選曲は、より若い世代を意識している。その点に誤算が生じるのではないか、というのです。

「有権者はかっこいい音楽を聴いたからといて、投票行動を変えるわけではない」のですね。選挙戦における音楽とは、候補者を支持している人たちの気持ちをさらに盛り上げ、より強く団結させるためのものだからです。

 さて、これが日本だったらどんな感じになるでしょうか。そろそろ選挙も近づいてきましたし、選挙権年齢も次の参院選から18歳に引き下げられるので、各党の戦略も色々と変わってくることでしょう。

 そのとき、日本の政党も選挙戦略の一環として、音楽を真剣に考えることになるかもしれません。ためしに、共産党の志位委員長にお花畑をスキップしていただいて、そのBGMに「Tiptoe Through the Tulips」(タイニー・ティム)でも流してみたらどうでしょう。

⇒【YouTube】Tiny Tim - Tiptoe Through The Tulips http://youtu.be/zcSlcNfThUA

※参考 ガーディアン紙電子版

http://www.theguardian.com/music/2016/mar/01/rock-and-folk-tunes-on-the-campaign-trail

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>