中国は、今年3月の全人代で13次となる五カ年(2016〜2020年)計画を採択した。本書で、この立案に携わった、中国経済学の第一人者・胡鞍鋼・清華大学国情センター長(教授)が狙いと注目ポイントを率直に解き明かしている。

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世界第2の経済軍事大国・中国は不気味な存在だ。社会主義と資本主義を融合した「国家資本主義」を国是としているが、今一つ分かりにくい。1978年にトウ小平が唱えた「改革開放」以来、「5カ年計画」を繰り返しながら目標を着実に達成。今年3月の全人代で13次となる五カ年(2016〜2020年)計画を採択した。中国「百年目標」の最終年は、建国100年になる2049年である。

ところが、中国経済は今、「減速」局面の真っただ中。今次計画もうまく機能するのか?本書で、この計画の立案に携わった、中国経済学の第一人者・胡鞍鋼・清華大学国情センター長(教授)が「第13次」の狙いと注目ポイントを率直に解き明かしている。

本書によると、2016年は中国にとって、小康(ゆとりのある)社会の全面的完成の最終段階の始動の年。至難の業である構造改革を実現する年でもある。第13次五カ年計画では、小康社会を2020年までに完成させるという大目標に向けた重要政策「五大発展理念(創新・緑色・開放・共有・協調)」を具体的に解説している。

その主なポイントは、年平均6.5%以上の成長目標に向け構造改革と経済成長を両立させ、(1)絶対的貧困の撲滅、(2)環境汚染の減廃、(3)技術革新(イノベーション)―などを推進する。この結果、2020年に中国は世界最大の消費市場となり、国内総生産(GDP)は為替、購買力両方式で世界の5分の1(20%)に達するという 。

世界一の「余裕資金」を活用して計画を達成すると自信満々だが、高齢化や過剰設備、巨額の官民の累積債務、高齢化、環境汚染など多くの難題を解決できるのか?今一つ楽観的に過ぎるきらいは否めない。

本書に掲載されている30に及ぶ図表には、「世界全体に占める中国とアメリカの科学技術力の割合」「全国農村貧困人口と貧困発生率の推移」など新たな統計・資料も多く盛り込まれている。中国の新政策や将来計画について関心のある中国研究者、企業人、ジャーナリストはもとより、中国理解をより深めたい一般読者にも参考になる1冊だ。(評・八牧浩行)

<胡鞍鋼著・小森谷玲子訳『中国の百年目標を実現する第13次五カ年計画』(日本僑報社、1800円税別)>