「漏らしてねぇ……漏らしてねーよ!」
また股間が濡れている山猫(亀梨和也)。やはり漏らしグセがあるのか……。
冒頭から、DJ山猫と関本のおっさん(佐々木蔵之介)のラジオ公開収録という設定で、リスナーからの質問に答える二人。キャッキャする姿は楽しいけれど、そんなラジオ放送してたっけ?
いや、問題はそこじゃない。9話で里佳子(大塚寧々)と真央(広瀬すず)が大ピンチなのに、悠長なことをしてる場合じゃないよ! ドラマ「怪盗山猫」最終話。


さあ、結城の息の根をとめてやろうじゃニャいか!10 話


山猫と関本は再び結城の屋敷に忍び込んだ。そこで待ち構えていたのは、勝村(成宮寛貴)だった。「一服していい?」山猫の提案でタバコを吸う二人。嵐の前の静けさか、妙に冷静だ……。

山猫はとっくの昔、対面する前から勝村の正体を把握していた。雑誌で山猫の連載をしていた記事の一節から、スパイ養成学校の人間だと気づいていた。さすが勘がいい山猫。でも、そうと分かっていながらなぜ勝村を受け入れたのか。
勝村が自分に結城を重ねていたんじゃないかと問うと否定した。

「山猫が飼い猫より弱かったらシャレになんねーだろ」
山猫の一言で、殴る蹴るの攻防戦が勃発。やや勝村優勢で、ふすまに打ち付けられ吹っ飛ぶ山猫。相手も同レベルだからか、撃たれたダメージが残っているからか、いつもより弱くみえた……。

「俺を誰だと思ってるんだ?」
「山猫様は負け戦はしねーんだよ」
口から血を流して座り込んで下から力強く見上げる山猫が最高にカッコ良かった。

「あたり前田のクラッカー!漏らしてねーーーよーーー!」
合図に真央と里佳子が答えた。9話で勝村に拘束、放火された里佳子と真央、実は間一髪で赤松杏里(中村静香)に救出されていた。電波ジャックして勝村にだけウソのニュースを流していたのだ。やられた……。

「痛いだろ、これでおあいこだ」
殴る蹴るの激しい決闘の末、仲間の援護で山猫は隙をついて勝村を撃った。
同じ養成所の出身であり、一時は仲間のように過ごした二人。山猫は勝村との違いを説明した。
「僕は一人で、あなたには仲間がいた、そういうことですか?」
「ちげーよ。俺の方がイケメンだってことだ」ウィンクと舌打ち。
ファンタスティック! このタイミングでもギャグを放ちますか。

「俺とお前の違いをもうひとつ教えてやる。俺は、命を奪わない」
勝村が死なないように脇腹を撃ち、拳銃を奪って弾を抜いた。命を奪わないというよりも、勝村に「生きろ」とメッセージを残しているようだった。

お前のコアってなんだ? チーム山猫が崩壊か……。


「あんたが、ゆっ結城?」
着物で日本刀を持った男が現れた。いよいよ結城の登場か!?と思いきや、仮面をかぶった関本だった。敵か味方か混乱してくる……。

結城は既に亡くなり骨だけが大切に保管されていた。政府関係者らが膨大な隠し財産を使って、結城の頭脳をコンピューターに移植。肉体は滅びたものの人工知能として守られていた。山猫の人生を翻弄し、復讐を誓った結城は存在していなかった。

おまえに引導を渡すため、と山猫の前に立つ関本は別人のようだった。
「お前がやりたかったのは結城への復讐だ」
「違う……違うつってんだろ」
血をながしてボロボロになりながらも関本に立ち向かう山猫が小さく見えた。いままで日本を変えて、笑顔を取り戻すことをコアに悪事を暴いてきたけれど、奪った大金も結城の活動資金に。山猫が動けばうごくほど、結局は結城に転がされていたと聞かされる。

「“盗みはするが奪いはしない”、だがな、何かを変えたいなら奪ってみろ。俺にその力を見せてみろ!」
激しくまくしたてる関本。たまりかねた山猫が、叫びながら関本の腹に刀を突き刺した。刀は体を貫通、血を吐いて倒れる関本。涙を浮かべて震え、怯えた表情の山猫。
「全部ムダだった」と目を閉じ、ガッと目を見開いて刀を振りかざそうとしたとき、インカムから真央の叫び声が聞こえた。

真央がたくましくなっていた。落胆する山猫に怒鳴るように声を張り上げた。
「ムダじゃない、あんたがいたから笑えたの!みんなが、みんながあんたのお陰で笑顔になれた。あんたがちゃんと向き合ってくれたから、本気でぶつかってきてくれたから。生きてる価値がないなんて言わせない。そんなこと、絶対に言わせないから」
かつて山猫に救われた真央。事件を解決する度にたくましくなり、今度は真央が山猫を救った。

一年後。真央は少年院から出所してアジトへ向かった。ただ、山猫も関本の消息はわからず。余韻を残したエンディングだったけれど、きっと久しぶりにチーム山猫が集合したんじゃないだろうか。

ペロっと舌を出したりウインクしたり“アイドルの亀梨くん”が顔をだしたかと思えば、激しい暴力シーンもあり。「おまえのコアってなんだ?」と聞かれるたびにずしっと心に響く言葉もあって、ハラハラドキドキ、ファンタスティック!の連続だった「怪盗山猫」。
ドラマ化にあたって、原作者の神永学から出された一つの条件「原作よりも面白くすること!」は、ミッションクリアできたはず。
(柚月裕実)