パーソナルモビリティ(電動車椅子)の「WHILL Model A」(C)JDP GOOD DESIGN AWARD

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医療機器に求められるのは機能性や医学的な有効性で、見た目がいいかどうかは関係ない、というイメージを持っている人は多いのではないだろうか。むしろ、清潔そうではあるが、無機質でちょっと怖いと感じることもあるかもしれない。

そんな医療機器に、変化が訪れている。使いやすさはもちろん、デザインも工夫され、グッドデザイン賞でも高い評価を受けて、受賞する製品まで登場しているという。

思わず欲しくなる医療機器

グッドデザイン賞は、日本デザイン振興会が主催し、デザインが優れた工業製品やサービス、イベント、取り組みなど、幅広い事物を対象に贈られる、日本で唯一の総合的デザイン評価の賞だ。

普段使っている文房具や家電などにも、「GOOD DESIGN AWARD」のロゴマークが貼られているのを見ることもあるだろう。おしゃれでかっこいい日用品が受賞しているように思えるが、グッドデザイン賞事務局の秋元淳氏は、
「応募されてきたものを見ると、今現在、日本で伸長している分野が見えてきますが、ここ数年は医療機器が増加しています」と語る。

実際、2015年のグッドデザイン賞受賞対象を見ると、医療分野の製品が目立つ。大賞を受賞したパーソナルモビリティ(電動車椅子)の「WHILL Model A」をはじめ、18件の金賞受賞対象にも、電動義手の「HACKberry(ハックベリー)」や2型糖尿病治療薬とその注射器「トルリシティ皮下注0.75mgアテオス」が含まれている。そのほかの各賞でも多くの医療機器が受賞しているのだ。

「製薬メーカーから医薬品が応募されることもあります。薬の信頼性も加味しながら、パッケージデザインを評価し、受賞に至る製品も少なくないですね」(秋元氏)

受賞した医療機器に共通するのは、どれも意匠や設計、コンセプトが優れており、必要がない人でも欲しくなってしまうような、格好よさや洗練された雰囲気がある点だ。大賞のWHILLも、受賞製品の展示会場で「かっこいいから乗ってみたい」と、一般参加者から高い評価を受けていたという。

デザインへの期待が高まっている

「『かっこいい』『欲しい』と思わせるということは、意匠や設計が優れているという意味だけではなく、医療機器と一般の人との間にある社会的な距離を縮める機能も、デザインが果たしているといえるのではないでしょうか」(秋元氏)

もちろん、医療機器である以上、デザインだけではなく、医学的な有効性も考慮する必要がある。グッドデザイン賞では、医療分野の場合、キュレーターやエンジニア、デザイナー、医療専門家など異なる立場の審査員が各々の視点から評価をおこない、デザインとエビデンス(科学的な信頼性)のバランスを取るという。

「現代はデザインという概念が社会的に成熟している時代です。医療機器に限りませんが、作り手や利用者も含め、デザインの果たす役割への期待が高まっていると感じています」(秋元氏)

エイジングスタイルは「GOOD DESIGN Marunouchi」とコラボレーションし、2016年3月30日にGOOD DESIGN Marunouchi(東京都千代田区)にて、トークイベント第1回「歩行と姿勢のデザイン」を開催する。詳細はこちら。

(Aging Style)