シンプルがいちばんおいしい。オーガニック料理店と天然酵母のパン屋さんがつなぐ味

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原武茂孝さん、ひろみさん夫妻がオーガニック野菜を中心としたつまみと、無添加の国産ワインなどが楽しめる「ハレとケ」を開いたのは昨年3月。
「以前、妻が体調を崩したときに、自分たちの食生活を見直しました。取り入れたマクロビオティックを通じて、改めて気づいたのは、野菜本来のおいしさ。そういう野菜をつまみに、夫婦そろって好きなお酒が飲めるバーがあったらと思ったのが、開店のきっかけです」と茂孝さん。

写真/野菜つまみの盛り合わせ ecomo Bakeryのパンとともに
ハレとケ自慢の有機キヌアのカラフルサラダなど7〜8種類を盛り込んだ野菜のつまみ盛り合わせ1200円。パンはプティ・ルヴァン、プティ・ローストポテトブレッド、豆乳とオリーブオイルのパン各250円、3個セット600円。◆ふたつの店がつないでいく街のおいしい広がり


店を構えたのは、石川町駅のすぐ近くに建つビルの2階。目の前を流れる川と街路樹、空までもが望める気持ちのいい空間にひとめぼれしたそう。「街には魅力的な個人店が多く、店主も気さくな人ばかり。互いが店を行き来して、下町感覚で付き合える。ここに店を開いて、本当に良かった」。

昨年7月にはこの町らしい不思議な縁も生まれた。
「もともと辻堂のベーカリーmarumaruからパンを仕入れていましたが、2号店のecomo Bakeryが元町にオープン。素材そのものを大切にしている共通点があって、とにかくおいしい。そんなパンが近くで手に入れられるのは嬉しいニュースでした」と茂孝さん。

◆歩み始めた2店をつなぐパンの味


「ecomo Bakery」の天然酵母パンは、北海道産の有機小麦をはじめ、平飼い卵、有機栽培フルーツ…と、国産のオーガニック素材を中心に使用。地味にあふれたパンを店内の工房で焼いている。元町への出店は偶然だそうで、「元町は古くからさまざまな衣食の文化が生まれ、発展させていった街。そういう場所だからこそ、パンを通して、オーガニックの魅力を発信していくのにぴったりだと思ったんです」と、ecomo Bakery店長の金澤智子さん。

今年2月からは、元町の店舗で「ハレとケ」用のパンの製造がスタート。酒のつまみにはどのパンが向いていて、大きさはどのくらいがいいかなど、原武さん、金澤さん、職人さんが考え、店頭では販売していないプチサイズのパンも作っている。
ふたつの店をつなぐパンから、新たなおいしい文化が街に広がっていきそうだ。