気温が上昇するにつれ、散歩に出かけたくなる今日この頃。
街を歩いていると、看板やのれんなどに不思議な文字を見ることがあります。
おそば屋さんの崩した文字、これ漢字? 「うふぎ」って?
これは「変体仮名」と呼ばれるものですが、
なぜこんな文字があるのでしょうか?

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そば屋ののれんに書かれた文字、きちんと読めますか?


平仮名の歴史

平仮名は漢字の音を借りて日本語を表記する「万葉仮名」から生まれました。
たとえば
「あ」は「安」、「い」は「以」、「う」は「宇」、「は」は「波」、「な」は「奈」をそれぞれ書き崩して生まれた文字です。おおよそ平安時代の9世紀ごろから書き始められ、10世紀には現在のかたちに近い平仮名になったと考えられています。
宮廷での女性による和歌文学や物語文学の進展との関係も深く、平仮名は「女手」とも呼ばれました。


平仮名の標準が決まったのは?

もととなった漢字を「字母」と呼びますが、日本語の「あ」は「安」だけで書かれたわけではありませんでした。
平安時代からの筆跡を見ると、「阿」なども「あ」として書かれていました。
長い歴史の中で、「安」が広く使われるようになり、ほかの漢字は淘汰されていったのです。
仮名によっては複数の字母が長く使われたものもありました。
たとえば現在の平仮名の「に」は「仁」を字母としていますが、歴史的には「尓」や「耳」のほうが広く使われていました。「は」では「者」「盤」も使われています。
ところが、明治33(1900)年に「小学校令施行規則」が出され、五十音図と平仮名の字形について方針が定められました。
その中で、漢字の字形から簡略化が進んでいない字形や複数の字母を持つ仮名は、現在のかたちに統一されたのです。
それ以外は「変体仮名」ということになりました。


身近な「変体仮名」

その伝統が残っている身近な場面も残っています。
たとえばおそば屋さんののれんには「楚者(そば)」という変体仮名が使われています。
うなぎ屋の「ふ」に見える文字は「な」の変体仮名「奈」です。
「団古(だんご)」「御手茂登(おてもと)」なども今でもよく見かけますね。仮名書道などでも使われます。
現在私たちが使っている日本語やその文字は明治になってその枠が決められたものが多いのです。
街なかの変体仮名ウオッチをしてみませんか?

よく見かける、うなぎ屋ののれん