臨月妊婦でのインフルエンザ顛末記

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2月末に第二子・長男を出産した。
第一子は夏生まれ。今回は真逆の季節の出産となったため、マタニティ服から新生児衣類まで、予想以上に前回とまったく勝手が違った。二人目ではあるが「初心者」のように、冬生まれの子どもがいる友人にアドバイスをもらったり、育児本を読み返したりした。

今年は暖冬だったので、新調したマタニティの真冬装備はさほど活躍の機会もなく臨月に至ってしまったが、私にとって暖冬の大きな影響はもっと別のところに出た。

―― インフルエンザの流行タイミングの遅延である。

通常なら年内にインフルエンザ流行宣言が出されるところだが、今年は2月にずれ込んだ。

じつは、私はインフルエンザの予防接種は受けたり受けなかったりだが、今まで一度もインフルエンザにかかったことがなかったので、「インフルエンザなんて海外ではただの風邪扱い。自分が健康で元気であれば大丈夫!」くらいの気持ちでいた。

そして、臨月妊婦にも関わらず、うっかりマスクなしで人混みを歩いてしまった結果、出産1週間前に急な発熱と胃の激痛のため夜中に救急外来に駆け込み、まさかの人生初「インフルエンザ・陽性」の宣告を受ける事態になってしまった……。


来週には出産予定というタイミングでの発症だったので、とにかく赤ちゃんが心配。
救急外来に駆け込んだ夜、あわよくばこのまま入院させてくれ……と思ったが、病院では「インフルエンザの人たち」の方にトリアージされ、同様の症状で救急に駆け込んでいる老若男女と同じ廊下で待たされ、抗インフルエンザ薬の処方を受けて帰宅させられた。

妊婦は異物である胎児をお腹に宿すため、自らの免疫機能を下げているというので、インフルエンザが重症化しやすい。しかし、新生児がいる産科病棟にインフルエンザウイルスを持ち込むわけにはいかないので、病院の方針にもよるだろうが、妊婦が産科病棟に入院することは難しいようだ。

初めてのインフルエンザは、想像以上に辛かった。
仕方なく薬をもらって家に帰ってきたが、ただでさえ大きなお腹を抱えて身体的負荷が高い臨月。インフルエンザによる発熱と関節の痛みはかなり辛く、上の子(2歳)のお世話は到底ムリ!という状況。しかも、上の子は感染の疑いがあるので、保育園にも登園できなくなった……。

インフルエンザを発症してしまったママと、感染の疑いのある子どものお世話をしてくれるのは「パパ」しかいない。もちろんパパにも感染の疑いがあるので、パパは急遽、翌日から1週間会社を休まなければならなくなった。

パパには大変な迷惑をかけることになったが、時間差で次々発症していくと地獄絵図になるので、なんとしてもパパと上の子の発症を免れたいところだった。

家庭内でインフルエンザが発症してしまった我が家で、とにかくすぐにやったことは以下の3つ。

【1】発症者の隔離
【2】すべての居室で湿度50%を死守
【3】全員外出しない

まずは【1】、「発症者の隔離」について。
インフルエンザがこれだけ日本で忌み嫌われる理由は、「感染力がとてつもなく高いこと」だ。ひとつのウイルス細胞が体内に侵入して感染した場合、24時間後にはウイルスは100万倍に増えてしまうそうだ。とくに発症してしまっている患者の体内では、インフルエンザウイルスが急激に増殖している状態なので、とにかく発症者とは接触しないように物理的な隔離が必要となる。

現在、我が家の寝室はひとつで、家族みんなが同じ部屋で寝ていたが、元気な感染疑い者2名の布団はリビングへ移動。2人にはしばらくリビングにてワンルーム生活を送ってもらうことして、発症している私は寝室にて隔離された。

「隔離したいが寝室が足りない!」と思うところだが、事態は一刻を争うので、元気な感染疑い者が寝起きする場所はリビングでもダイニングでもよい。とにかく、発症者との接触を物理的に断つことが大切!

【2】の「すべての居室で湿度50%を死守」というのもとても有効である。
インフルエンザウイルスは、適切な湿度下においては生存できないということが分かっている。その「適切な湿度」とは50%以上で、室温20〜21度において湿度20%のときは約60%の生存率があるインフルエンザウイルスが、50%を維持しておけば生存率は数%にまで下がる。

また、インフルエンザの感染経路は「喉」だが、湿度を保つことで喉の粘膜バリア機能がしっかり働くので、感染予防にもなる。我が家では急遽湿度計を2つ買い足し、50%のボーダーラインを1%でも下回った部屋ではすぐに加湿器をつけるというオペレーションで過ごした。
※参照元:インフルエンザウイルスと湿度の関係(G.J.Harper)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2134455/


【3】「全員外出しない」というのは、臨月妊婦や新生児がいる特別な環境の場合に限定されるかもしれないが、とにかく新たな発症者を出すことを絶対に避けたいときは、例え元気であっても家族全員、極力外出しないことが望ましいと考えた。

以上3点を実施した結果、運良くパパと上の子の発症は免れ、ママも薬がとてもよく効いてくれたおかげで翌日には解熱、4日間で寛解。おかげで無事に出産予定日に出産することができた。

じつは、私の出産2日後に、外に出歩いていた上の子が、別の感染源から感染してインフルエンザを発症……。我が家はまたしてもインフルエンザ騒動に陥ったが、再び上記3点を実行して、家族内感染を防ぐことができた。

パパは再び1週間休みをとることになり、結果、産前産後で半月も休むことに。もはや「育休」だが、会社に家族のインフルエンザ感染を報告することで、幸いにも「看護休暇」が取得できた。

今回の出産は、出産自体よりも「インフルエンザ」の方が色濃く記憶に刻まれる事態となったが、何はともあれ、母子ともに無事で良かった。

二人目出産ではあったが、季節が違うと気をつけなければいけないポイントがこんなに異なるのかと実体験したが、もし読者の皆さんのまわりに「冬生まれ予定」の妊婦の方が現れたら、どうかインフルエンザ予防を促してあげて欲しい。

森田 亜矢子
コンサルティング会社、リクルートを経て、第一子出産を機にフリーランスに。現在は、Baby&Kids食育講師・マザーズコーチング講師・ライターとして活動中。2才の長女と今春第二子が誕生予定のママ。