WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 米ツアーの今季メジャー初戦、マスターズ(4月7日〜10日/ジョージア州)を3週間後に控え、ディフェンディングチャンピオンで世界ランキング1位のジョーダン・スピース(22歳/アメリカ)の周囲がちょっと騒がしい。

 はたして、マスターズには万全な状態で臨めるのか? スピース自身と、彼を取り巻く状況が気になるところだ。

 そもそも発端は、先週のバルスパー選手権(3月10日〜13日/フロリダ州)でのことだ。大会連覇を狙うスピースは、初日に「76」と振るわず、5オーバーと出遅れてしまった。そしてその日の午後、インスタグラムやツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で、日頃からファンに向けて情報を発信しているスピースは、「退屈だったから」という理由で、何となくファンからの書き込みを読んでしまったという。

「パットが入らないスピースのプレーはゴミだ」
「彼はもう終わった」

 散々な結果に終わった日、スピースの憤りはさらに増したことだろう。だが、そうしたコメントに対して、「全然、事実と違う。ちゃんと調べてから言え!」などと、スピース本人が反応してしまったことが大きな間違いだった。

 SNSは選手が直接ファンに語ることができるし、相互の意見を交換することもできる。その多くのコメントはポジティブで選手をサポートするものだが、中には中傷や悪ふざけが過ぎるものもある。

 結果、スピースとファンとの"バトル"は、一時騒然となった。その間、それらのやり取りをツイッター上で見ていたロリー・マキロイ(26歳/北アイルランド)が、「ジョーダンはタイガー・ウッズじゃないし、スランプじゃない。22歳でメジャー2勝の選手だ」と、スピースを擁護する書き込みをするまでに至った。

 とまあ、ひと昔前なら考えられなかった、現役プロのトッププレーヤーと、ファンとの口論が起こったのだ。

 スピースは、礼儀正しい青年だ。家族思いで、妹思いで、いつだってきちんとメディアやファンに対応する。けれども、スピースだって"人間"。苛立ちを抑えられないこともある。

 翌日、大会2日目には、「68」と巻き返したスピース。SNSでの騒動については、「こんなことは2度としないよ」と語った。

「いろいろなことを言う人がいる。だけど、次の試合が始まったら、もう誰も覚えていないよ」

 昨年のマスターズ、スピースは初日から首位を守って完全優勝を果たした。その1週間は、わざと外部からの雑音をシャットアウト。友人を宿舎に呼び寄せて夜はピンポンをするなどで気分転換を図った。

 2016年は、1月にヒュンダイ・チャンピオンズ(1月7日〜10日/ハワイ)で勝利したあと、確かにスピースは優勝争いに絡めていない。しかし、2月のノーザントラストオープン(2月18日〜21日/カリフォルニア州)こそ予選落ちしたものの、その他の試合では常にトップ25に入っている。それで「スランプ?」と言われてしまうのは、スピースがそれだけの注目を集め、大きな期待を寄せられている証拠だ。

 スピースは今回、このSNS騒動で自身の立ち位置を把握し、改めて周囲の雑音との向き合い方を学んだのではないだろうか。再び大きな注目を集めるマスターズに向けて、それがいい意味で教訓となったかもしれない。

 例年、マスターズが近づいてくると、過去のチャンピオンたちの勢いが増し始める。直近の過去5大会の優勝者を調べると、前出のスピースは1月のヒュンダイ・チャンピオンズを勝って、バッバ・ワトソン(37歳/アメリカ。2012年、2014年マスターズ優勝)はノーザントラストオープンで優勝。マスターズ2013年の覇者アダム・スコット(35歳/オーストラリア)は、フロリダシリーズで2試合連続Vを達成した。さらに、2011年のマスターズを制したシャール・シュワーツェル(31歳/南アフリカ)が、先週のバルスパー選手権で勝利を飾った。

 そんな中、スピースは今週のアーノルド・パーマー招待(3月17日〜20日/フロリダ州)を欠場。ここでしっかりと休息をとって、地元開催のWGCデルマッチプレー選手権(3月23日〜27日/テキサス州)、シェル・ヒューストン(3月31日〜4月3日/テキサス州)に参戦し、マスターズに臨む。

 スピースは、今回のひと悶着を逆にパワーとし、マスターズ連覇を果たせるのか。アメリカだけにとどまらず、日本でも多くのファンが注目している。

text by PGA TOUR JAPAN