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●ブロック玩具を教育現場に生かす
「アクティブ・ラーニング」という言葉がよく聞かれるようになった。ここでいう“アクティブ”とは、運動する・体を動かすということではなく、“能動的”に学習するということだ。たとえば、大学授業における「グループディスカッション」「協働研究」「グループ発表」といった流れがこれに当たる。「クイズ形式の授業」などもアクティブ・ラーニングに加えてよいだろう。このアクティブ・ラーニング分野において、強い自信をみせているのがレゴエデュケーションだ。

○280ピースのブロックとプログラム用ソフトのセット

レゴエデュケーションはブロック玩具のトップ企業、レゴ社の教育事業部門のこと。ブロック玩具とプログラミング機器を組み合わせた教材「レゴ WeDo 2.0」を4月から発売する。

この教材は280ピースのブロック、2つのセンサー、モーター、プログラミング用ソフトウェアなどで構成され、課題にそったモデルを組み立て、パソコンやタブレットを使ってそのモデルに特定の動作を設定する。

レゴエデュケーション 日本代表 須藤みゆき氏は、「日本には20,000校におよぶ小学校があるが、3年間で2,000の教育機関にレゴ WeDo 2.0を30,000台導入したい。強気な目標と思われるかもしれないが、アクティブ・ラーニングの教材として確固たる自信がある」と話す。それを裏付けるように「“主体的”“協働的”に学習でき、高いモチベーションで効果的な学び体験を与えられる」と教材への自信を示した。

実際にこの教材を使った小学校5年生の授業を見学させていただいた。驚いたのは、授業を担当する先生が課題の番号を示し「それでは始めてください」と合図しただけで、生徒たちがすぐさま作業に取りかかったこと。通常こうした授業では、最初に先生が工作の目的や手順、注意点を解説し、その後生徒たちが実作業に取りかかるというイメージを持っていたので、正直、目を見張った。

●大学入試改革で重要性を増すアクティブ・ラーニング
これほどスムーズに実作業に取りかかれる理由はおもに2点ある。ひとつは生徒たちがすでにこの教材を使った授業を数回経験していること。そしてもうひとつが課題の内容をプログラミングソフトウェアで確認できる点だ。生徒たちは、指定された番号の課題ページを調べ、どういうモデルをブロックで組み立て、どういうプログラミングをすればよいのかを考える。そして組み立てたモデルに問題があれば“トライ&エラー”を繰り返し、完成に近づけていく。

拝見させていただいた授業では、4輪の“クルマモデル”が課題となった。車体前面にセンサーを取り付け、進行方向に障害物があれば自動で止まるようにプログラミングしなくてはならない。ブロックの組み立てとプログラミングが終わった生徒から教室後方に用意されている“障害物”に向かってクルマモデルを走らせ、テストする。障害物手前で自動停止するクルマモデルを一発で成功させる生徒もあれば、失敗しトライ&エラーを繰り返す生徒もいた。課題を早期に達成したあと、障害物手前で自動停止、その場所で後退・前進を数回繰り返し、スタート位置までバックして戻る複雑なプログラミングを試す生徒もいた。

○作業への関わり方も学べる

基本的に2人1組で1セットの教材を利用するのだが、各組で作業の仕方にちがいが出ることもユニークに感じた。2人でブロックを組み立て、2人でプログラミングを考える組、1人はほぼ組み立てに専任し、もう1人はプログラミングにじっくり腰を据える組、といった具合だ。協働作業の大切さや役割分担の効率性なども学べるのだなと、感心した。

アクティブ・ラーニングについては、米マイクロソフトが「マインクラフト」を活用した教育サービスを今夏より開始するなど、注目度が増している。日本においても、今後その重要性が高まるのは間違いない。というのも、2020年度から大学入試改革が開始される予定だからだ。現在の大学入試センター試験は廃止され、詰め込んだ知識よりも“思考力”“判断力”“表現力”がより試されるようになるという。こうした“知識の応用力”ともいえる学力を身につけるために、アクティブ・ラーニングが欠かせないというワケだ。今回、見学させていただいた小学5年生たちも、改革後に大学受験にのぞむ世代だ。

いずれにせよ、レゴ WeDo 2.0を使った授業は、生徒たちの歓声と笑い声が絶えない時間だった。きっと彼らにとって短く感じた授業だったにちがいない。

(並木秀一)