飽和状態だった空気清浄機に新たな価値を付加したモデルが、シャープから誕生した。その価値とは、空気の汚れを取るだけでなく“蚊を捕獲する”というもの。蚊の好む色や機構を施すことで本体に集まるようにし、空気清浄機の吸引力で捕まえるのだ。構想から製品化まで6年をかけた「蚊取空清 FU-GK50」(以下、蚊取空清)の仕組みを見ていこう。

発表会では、蚊に見立てた擬似虫を蚊取空清がキャッチするデモが行われた。その様子(動画)は下で紹介!

どうやって蚊を取るの? 仕組みをチェック!

日本における一般的な蚊の対策は、蚊取り線香/マット/リキッドが主流だ。しかし、ニオイや身体への影響など薬剤を懸念する声は多いという(メーカー談)。そこで、蚊取空清は“蚊の習性”と“空気清浄機の吸引力”を組み合わせることで“薬剤レス”を実現した。

まず、本体に蚊の習性を利用した機構を施すことで、UVライトで誘い出す(虫は紫外線に集まりやすい)→黒いボディに寄ってくる(蚊は黒色を好む)→本体に用意された小窓に誘い込む(蚊は物陰に隠れたがる)といった流れで蚊が空気清浄機に近づくという。その状況になれば、空気清浄機の吸引力で蚊は本体内引き込まれる。吸い込んだ蚊を逃がさないように、内部には粘着シートも装備されている。

サイズは394(幅)×540(高さ)×281(奥行き)mmで、適用床面積〜23畳。市場想定価格は50,000円(税別)で、発売予定日は4月23日となっている

自身と同系色の黒色は身を隠すのに適しているため、ボディカラーのブラックに蚊が寄ってくるという。本体側面に見える穴が、蚊を誘い込むための小窓。その内側に、UVライトと粘着シートが搭載されている

UVライトからは、蚊が集まりやすい360nm波長の紫外線が放射。紫外線は無色なので人の目には見えないが、作動していることを確認できるように青色に光らせている

約9.5(幅)×3.5(高さ)cmの小窓が、背面側の両サイドに5つずつ設けられている(サイズは筆者測定)。この小窓の大きさも、蚊が好むサイズなのだそう。空気を吸引する吸込口でもあるため、小窓に近づいた蚊は本体内に引き込まれてしまうのだ

冒頭の写真で紹介した擬似虫を使った検証をやってみよう。小窓に蚊が吸い込まれる様子が確認できる(下の動画参照)。

小窓から引き込まれた蚊は、背面パネルに備えられた粘着シートにくっつく。本体に入ってしまったが最後、中には気流と粘着シートがあるので蚊は逃げられない

本物の蚊が捕らえられる様子も、下の動画で見ていただきたい。小窓からの吸引力は手をかざしてもそれほど強く感じなかったのだが、蚊にとっては効果絶大なよう。近づいた蚊がもれなく吸い込まれるのが、すごい!

捕獲試験後の粘着シートには、蚊がびっしり

捕獲試験後の粘着シートには、蚊がびっしり

蚊がほとんどいないであろう12月に自宅で1か月間使った結果も展示されていた。冬でも生き延びた蚊はいるようで、粘着シートに数匹くっついてる。蚊だけでなくホコリも付着するため、粘着シートの交換タイミングは2か月

蚊がいっぱい付いた粘着シートを捨てるのはちょっと気持ち悪い感じもするが、ご安心を。粘着シートには2つに折りたたみやすい仕掛けが施されており、粘着面が見えない形になる

粘着シートを交換したい時には、別売のものを購入する(希望小売価格:1,400円)。蚊を取る必要がない季節には装着せずに使用してもいい

購入した粘着シートにはフィルムが貼られているので、めくって使用する。粘着面を触ってみたところ、指にベタベタするものが付くほど強力だった

就寝時に蚊取空清の「蚊取りモード」を利用したい時には、「おやすみ運転」を選ぶと風量が抑えられ、静かな運転へと切り替わる。前面モニターのライトが消灯し、UVランプの照度も落ちるので睡眠の妨げにもならない。その間も、もちろん蚊の捕獲は行われるので快適だ

実は、蚊取空清はASEAN地域ですでに発売されている製品。ASEANでは空気のケアよりも蚊対策のほうが重視されており、その問題を解決するために蚊取空清の開発がスタートした。その結果、ASEAN地域では当初予定していた台数の倍の売れ行きを実現。非常に大きな反響を呼んでいるという。

蚊による危機的な被害はASEANに限ったことではない。日本でも2014年にデング熱の警戒が高まり、そして今年は中南米でジカ熱の感染が拡大するなど蚊がおよぼす問題は身近なこととなっている。そういったことからも、蚊対策は個々が行うべき大切な課題と言えるだろう。ちなみに、FU-GK50はフィルターや粘着シート(折り目部分)が日本仕様に改良されている。

日本に多い3種類の蚊をどれだけ取れるのかを試験した結果、チカイエカは約98%の捕獲率となった。日本では検証されていないが、ASEANで行われたテストでは小バエの捕獲も上々だったという

空気清浄機としても高性能!

蚊を取る機能が目玉ではあるが、清浄性能にも抜かりはない。部屋中の空気を効率よく循環させるために、空気を放出する角度は後ろ斜め20°に固定。後方に送風すると風が壁にぶつかり、天井を沿って対面の壁、そして床上をめぐって吸込口に流れてくるのだ。このような循環を行うもっとも適した角度が20°なのだという。0.3μmの微小な粒子を99.97%キャッチするHEPAフィルターも装備されており、集じん性能もバッチリ。もちろん、浮遊ウイルスやアレル物質の作用を抑え、浮遊カビ菌や付着臭を除菌・除去るプラズマクラスターも搭載されている。

吹出口のルーバーは後ろ斜め20°から動かない構造

吹出口のルーバーは後ろ斜め20°から動かない構造

後方斜め20°の送風がいかに循環に優位なのかを、動画で見てみよう。斜め上に吹き出されている時は、部屋の中央にある羽が回転しているが、真上吹き出しにすると止まってしまった。角度が違うと気流がうまく循環しないようだ。

吸い込まれた空気は、プレフィルター→脱臭フィルター→HEPAフィルターを通ってろ過される。HEPAフィルターには静電気を帯びさせているので、浮遊物が吸着しやすいという

<関連記事>「蚊取空清」を3人が自宅で使ってみた。結果はこちらでチェック!


>> 世界初! “蚊も取れる”シャープの空気清浄機「蚊取空清」を見てきた!! の元記事はこちら