3月11日、憲兵の不当捜査で謝罪する軍幹部

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(台北 17日 中央社)国防部(国防省)の憲兵が先月中旬、台湾の白色テロの関連資料を所有する男性の自宅で令状なしで行った家宅捜索が、市民の政治的権利や言論の自由が大きく制限された「戒厳令時代」の再来などとして、大きな波紋を呼んでいる。

問題は今月5日、男性の家族が行ったインターネット掲示板への書き込みで発覚。男性は家宅捜索により心身ともに傷を負ったと訴えており、捜査のあり方に違法性があった疑いが出ている。国防部は11日、関係者14人に下す行政処分の内容を公表したが、処分が軽すぎるとの声も多い。

国防部は、令状を申請しなかった理由について男性の同意を得ていたと説明。だが、戒厳令が敷かれていた1979年に起きた人権デモ弾圧事件「美麗島事件」でデモ主催者らの弁護士を務めた民進党の謝長廷・元行政院長(首相)は、フェイスブック上で、今回の事件について「戒厳令時代と何も変わらない」と批判。さらに、当時の自白調書の多くは脅しによって書かれていたことを忘れてはならないと強調した。

7日には、男性に資料を販売したオークション会社「再生.com」の胡顧問が1000件近い白色テロの関連資料を保有していると表明し、各方面で議論を呼んだ。資料はその後、政治討論番組「正晶限時批」の関係者に託されたが、司会の李晶玉氏によると、胡氏は問題発覚後、ほとんど眠ることができないほどのストレスや不安を抱えていたという。

台湾では、1947年の「二・二八事件」発生後、国民党政権が戒厳令を発令。言論の統制や、憲兵らによる取り締まりが行われ、多数の市民が投獄、処刑された。こうした白色テロは1987年に戒厳令が解除されるまで続いた。

民進党が初めて政権を取った2000年以降には、国民党が行った人権侵害などの犯罪を追及する「移行期の正義」が積極的に議論されるようになった。だが、週刊誌「今周刊」が今月発表した意識調査では、回答者の76.3%が移行期の正義は実現していないと答えており、過去の“負の遺産”をめぐる問題はいまだ解決をみていない。

(劉世怡、陳俊華、戴雅真/編集:杉野浩司)