忙しいのを自慢にするあの人に教えてあげたい「人は、寝ないで何時間働けるの?」

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執筆者:南部 洋子(看護師)
監修医:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)


楽しいとき、また、仕事がたくさんあるとき、「寝るのがもったいない」と思ってしまう経験をしたことはありませんか。
実際には、人は何時間くらい寝ないでいられるのでしょうか。また、寝ないでいることは、身体にどのように影響するのでしょう。

「寝ない」最長記録があった


海外では断眠の長さへの挑戦が行われていて、イギリス人が266時間(11日間)という最長記録を作っています。しかし、このような挑戦は、身体、とくに精神に影響を及ぼすため、最近ではあまり行われなくなっています。

歴史上の人物では、睡眠時間の短いことを自慢している人が多いようです。ナポレオンやエジソンは、3時間ほどしか眠らなかったとか。「睡眠は時間の浪費だ」とも言っています。本当にそうでしょうか。

睡眠を摂らないとどうなるのか


人間にとって、睡眠は三大欲求の一つとして大事のものです。身体、とくに脳にとって必要不可欠なものなのです。
ちなみに、11日間寝なかった最長記録のイギリス人は、イライラ感、記憶障害、知覚障害、言語障害などを引き起こし、白昼夢や手の震えなども出てきたそうです。

睡眠中、脳は休むというより活性化しています。睡眠中に脳の血流量が増え、情報を整理して、忘れない長期記憶に変化させています。つまり、日常生活で情報を得たり、学習をした後、睡眠によって学習効果が上がるのです。ですので、たとえば一夜漬けの勉強は試験だけのためのもので、頭にしっかり入っていないということですね。

寝ないでいると脳が疲労してしまい、集中力が欠けたり、視力が低下して、ひどくなるとホルモンのバランスが崩れ、情緒不安定や幻覚症状が出るなどということもあります。
また、食べ物も食べられなくなります。

うつ病患者への「断眠療法」とは


うつ病患者を夜間眠らせない「断眠療法」があります。薬物に効果がない人など適用対象が広く、副作用が少ないことが特徴だと言われています。
一晩中まったく眠らない「全断眠療法」と、一晩の半分だけ断眠する「部分断眠療法」があります。

部分断眠療法は体への負担が少なく、間隔を1〜2日とれば繰り返し行うことができます。
夜の早い時刻に就寝して、午前1時〜2時頃に起床する「夜間後半部分断眠」と、午前2〜3時頃まで起きていて、その後、午前7時頃まで眠る「夜間前半部分断眠」とがあります。

うつ病の症状は、生体リズムに異常がみられることが多いため、その生体リズムを断眠により操作することで元に戻し、うつ病を改善されるというものです。

※断眠療法は一般的には入院し、治療の一環として行うものです。一人で自宅で行うものではありません

瞬間でも眠るのは効果的!


睡眠時間が短かったとしても、日中、座っていて瞬間的に数秒から10秒ほどでも眠れば、脳はセロトニンやドーパミンが正常に分泌するようになり、認知症予防にもなる、と言っている医師もいます。

忙しいから寝る暇もないと徹夜で仕事をしたとしても、効率や出来栄えには問題がありそうです。寝ないで仕事をすることは止めましょう。
6時間半〜7時間半が理想の睡眠時間と言われています。仮にその時間が確保できなくても、昼間、少しの時間でも作って良い眠りを確保することで、寝不足を補うことができます。

身体のためにも、脳のためにも、睡眠にはしっかりと気を遣うべきですね。