中国メディアの新浪網は、世界的なオークション会社のサザビーズが4月6日に実施するオークションに清の康熙帝が用いた玉璽が出品されると伝えた。最低価格は1500万ドル(約2億6000万円)という。

 康熙帝は清朝の第4代皇帝。在位は1661-1722年の約62年間で、記録がはっきり残る中国全国を支配した皇帝としては最も長い。在位の初期には三藩の乱を鎮圧して清朝の中国支配を最終的に確定。ジュンガル部のガルダン・ハーンを撃破して、モンゴル民族全体の「大ハーン」の地位を確立。さらに、チベット支配を確立する基礎を作った。

 さらにロシアと領土を確定するネルチンスク条約を結んだが、同条約は清とロシアが対等の立場であり、清が末期に西洋との間で結ばされた不平等条約とは本質的に異なる。

 康熙帝は清の内政を安定させるとともに、清の領土を歴代王朝最大にしたとして、「中国における歴代最高の君主」の1人とされる。サザビーズがオークションの康熙帝の玉璽の最低価格を日本円で約2億6000万円としたのも、さほど“法外”ではない。

 ただし、“法外”と言えば気になることがある。玉璽のこれまでの経歴、特に「紫禁城から外に出た」経緯が明らかにされていないことだ。中国の「ラスト・エンペラー」と言われる愛新覚羅溥儀の家庭教師を務めたレジナルド・ジョンストンは、著書「黄昏の紫禁城」で、清朝が瓦解してから皇帝一家と使用人である宦官は紫禁城で暮らすことを認められていたが、宦官らは盛んに、美術品を密かに運び出しては売って、金を得ていたと記述している。

 また清朝が北京郊外に建設した円明園の庭に設置されていた十二支の動物の彫像12体のうち、いくつかの動物の首が国外に持ち出された件では、1860年のアロー戦争のとき、英仏連合軍が持ち去ったと考えられ、中国外でオークションにかけられた際には「盗品を中国に戻せ」などと、愛国論調が異様な高まりを見せた。

 しかしその後、1930年代に円明園で撮影された写真に「首が完全な状態彫像12体」が写っていることが判明し、現在では「中国人が首を切り取って売り払ったのだろう」との考え方が一般になった。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の15日付報道の画面キャプチャー)