日本政府が次期中国大使に横井裕トルコ大使を起用する方針を固めたとの報道を受け、中国では横井氏の経歴を詳しく紹介する記事が増えた。横井氏が「南京大虐殺を認めた」と強調する記事もある。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本政府が次期中国大使に横井裕トルコ大使を起用する方針を固めたとの報道を受け、中国では横井氏の経歴を詳しく紹介する記事が増えた。横井氏が「南京大虐殺を認めた」と強調する記事もある。

 「中国通」や「かつて南京大虐殺を認めた」が強調されている記事は、大手SNSの騰訊微信が掲載したとみられる。中国ではインターネットニュースの自由転載が黙認されているので、網易などの大手ポータルサイト/ニュースサイトも同記事を転載した。

 記事は、横井氏が1980年代、90年代、さらに2000年以降の3回にわたり中国に赴任したと紹介。北京大学で中国語を研修した時期と合計すれば、中国で15年間暮らしており、横井氏自身が「私は外交官として、自分の目で中国の改革開放の全過程を見ました。私の人生にとって最も幸せなことでした」と話したと紹介。

 さらに、横井氏が初めて中国に赴任した1980年代は、日本が中国の現代化に協力し、「中日友好医院(病院)」、「中日友好環境保護センター」、「中日青年交流センター」など、日本がさまざまな施設を中国で築きもした「中日関係の黄金期」だったと指摘。横井氏は駐中国大使に就任した時に「若いころ経験した、中日関係の『黄金期』が脳裏をよぎるだろうか?」と論じた。

 また、日本での報道を引用して、2001年に台湾の李登輝元総統が来日した際、李元総統側が台湾・台北における日本政府の事実上の出先機関である交流協会台北事務所にビザ発給を申請したにもかかわらず、外務省が「受理していない」と説明したのは、日中関係の悪化を懸念した横井氏らの働きかけがあった説明。横井氏は政府内からも「親中派」と批判をされることになったと紹介した(その後、李元総統の来日は実現)。

 記事は、横井氏が外務省で報道官を務めていた2012年、新華社の記者から「南京事件」について質問を受け、「事実については異なる見方があるが、当時の日本軍が南京城に侵入し、非戦闘員の強奪や殺戮を行った事実は否定できない」と回答したとして注目。

 横井氏についてはさらに、「日本は過去の植民地支配と侵略で、特にアジア各国の人々に大きな損害と苦痛を与えた。日本政府はこのことを十分に認識しており、戦争を起こすことを2度とせず、平和国家の道を歩む決意をした」と紹介。

 横井氏は「南京大虐殺を認めたことで、侵略の歴史を美化する日本の政客に批判された」と、正しい歴史認識を示したにもかかわらず、“バッシング”に遭遇したとの論調で紹介した。

 尖閣諸島の問題については、中国漁船の衝突事件が発生した2010年の年末に取材を受け「最も親しい友でも、最も親しい家族でも、自分と他者の間には意見の違いがある。避けがたいことであり、正常なことだ」と述べた上で「双方は意見の違いを際立たせてはならない。長期的な視野で困難を克服するためにもだ」と主張したと紹介。

 同問題について横井氏が中国の主張に理解を示したわけではないが、問題を解決すべきとの意欲を持つ人物との考えを示した。
 
お断り:横井氏の発言は中国語記事からの翻訳であり、同氏が日本語で話していた場合など原話と用語やニュアンスなどのずれがある場合があります。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)