「またこれから学ぶことが増えました」AlphaGoとイ・セドルが、囲碁にもたらしたもの、AIにもたらしたもの

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DeepMindの囲碁AI「AlphaGo」と世界最高峰の棋士のひとり、イ・セドルとの最後の対局は、AlphaGoの勝利で幕を閉じた。世界中が注目した対局を終え、関係者たちがいま思うこと。

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AlphaGo Vs. イ・セドル。3月9日に始まった前代未聞の対決は、4勝1敗でAlphaGoの勝利という結果をもって幕を下ろした。

囲碁ファンはもとより、囲碁はまったくわからないという人々までをも巻き込んで、全世界が注視するイヴェントとなった「Google DeepMind Challenge」は、人工知能というテクノロジーの驚異を見せつけるとともに、囲碁というゲームの謎めいた奥深さを知らせしめ、そしてその世界におけるトップランナーたちの偉大さを感じさせてくれたのだった。

かつてアインシュタインが愛し、アラン・チューリングをも魅了したという「囲碁」。その神秘に人工知能をもって迫ろうとした科学者・エンジニアたちの長年の苦闘を知ればこそ(必読!:なぜ「囲碁」だったのか。なぜ「10年かかる」と言われていたのか──AlphaGo前日譚)、DeepMindの偉業はいっそう価値あるものとして感じられるに違いない。

しかし、人工知能によってその「神秘」がすべて明かされ、剥ぎ取られてしまったのかといえば、決してそうではないのだろう。囲碁の謎は、この対局によって、また深まったのかもしれない。

以下、最終局を終えた、関係者のコメント。

──イ・セドル九段

「Google DeepMind Challengeが終わってしまいとても残念です。今日はよい形で終わりたいと思っていましたが、希望通りの結果にはなりませんでした。わたしとしてはこの結果に満足していませんが、すべての対局を通じて応援し励ましてくださった皆さんに心より感謝しています」

「過去、自分が本当に囲碁を楽しんでいるのかどうかを疑問に思ったこともあったのですが、今回のAlphaGoとの対局は5戦ともすべて楽しむことができました。AlphaGoとの対局で、わたしは古い考え方に少し疑問をもったような気がします。またこれから学ぶことが増えましたね」

──デミス・ハサビス(Google DeepMind ファウンダー・CEO)

「この10日間、わたしたちは囲碁がもつ素晴らしい文化に触れ、興奮と熱狂を目の当たりにしました。現存する最古のゲームである囲碁に、この1週間、アジアそして世界中の人々の関心が集まったのです。このチャレンジを共催してくださった韓国棋院、そして対局をご覧くださった皆さんに、心より感謝いたします。そしてなにより、快くわたしたちの挑戦を受け入れ、すべての対局においてその驚くべき才能を発揮したイ・セドルさんに最大限の賛辞を送りたいと思います。彼の力なくして、わたしたちはAlphaGoの限界に挑戦することはできなかったでしょう」

「わたしたちは、プロ棋士達の棋譜を与え、学習させることで、最高の棋士を打ち負かせるシステムをつくれるのかが知りたくて、この挑戦にチャレンジしました。わたし自身の生涯を通しての夢であったその大きな一歩を達成できたことに、いまは興奮を抑えることができません。今後、わたしたちはこの技術を、より高度なスマートフォンのアシスタント技術や医療、翻訳などといった他の分野に応用していきたいと考えています」

──マイケル・レドモンド九段

「今日の対局は、序盤から終盤まで接戦で、勝敗を見極めるのは困難でした。第4局と同様、アルファ碁は48手目に盤中央付近でミスを犯したように見えましたが、その後、巻き返しに成功し、手が長く複雑な局面に進みました」

「もしAlphaGoを手軽に自宅で使うことができるようになれば、わたしたちプロ棋士にとって非常に重要な練習ツールとなると思います」

──宋泰坤九段

「科学者のように、囲碁の棋士も新しいアプローチやこれまでにない手法を日々模索しています。そして、それを見つけたときの喜びは何にも代えがたいものです。今回の一連の対局は、わたしたち棋士がこれまで見たことのない世界を見せてくれました。そして囲碁への関心も高まったと思います。この1週間で、わたしの囲碁の腕前はさらに上達したのではないかと思います」

──クリス・ガーロック(American Go E-Journal マネージングエディター)

「盤上で繰り広げられたドラマ、歴史的な意味、碁の内容、AlphaGoの想像を超えた技量、イ・セドルさんの才気、そして世界中のメディアの注目と、どれをとっても、このチャレンジマッチは素晴らしかったと思います。これは囲碁への贈り物であり、Google DeepMindのAlphaGo開発チームに心から感謝しています。今回の一連の対局で新たな囲碁のファンが増えると思いますし、これほどの素晴らしいイヴェントになるとは思っていませんでした。本当にどの対局も美しかった。Google DeepMind Challengeはこれまで囲碁がやってきたこと──人びとを結びつけること──を実現しました。対局の美しさと同様に、本当に美しいチャレンジマッチでした」

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