台湾メディアの聯合新聞網によると、台湾政府・主計処の石素梅主計長は14日、台湾経済は、中国大陸部からの旅行客が減少すれば、さらに打撃を受けると語った。一方、民間研究機関の台湾経済研究院附属景気予測センターの孫明徳主任は、大陸からの観光客に頼り切ることがよくないと主張した。(イメージ写真提供:123RF)

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 台湾メディアの聯合新聞網によると、台湾政府・主計処の石素梅主計長は14日、ただでさえ状況のよくない台湾経済は、中国大陸部からの旅行客が減少すれば、さらに打撃を受けると語った。石主計長は国民党所属だ。一方、民間研究機関の台湾経済研究院附属景気予測センターの孫明徳主任は、大陸からの観光客に頼り切る方法がよくないと主張した。

 5月に蔡英文・民進党政権が発足する台湾で、注目を集めているのが「92コンセンサス」(解説参照)についての新政権の扱い方だ。中国大陸側にとってみれば、同コンセンサスは「台湾は中国の一部」であることを台湾側も無条件に認めるものだ。蔡英文次期総統は、同コンセンサスについて慎重姿勢を保っている。中国側は直接または間接に、蔡政権が「92コンセンサス」を認めるよう、圧力をかけつづけている。

 中国側の圧力は、習近平国家主席が全国人民代表大会(全人代)の上海代表団の会議に出席した際、「92コンセンサスの歴史的事実を承認し、その核心的含意に対する共通認識を持ちさえすれば、両岸双方は政治的基礎を共有し良性の訴いうご作用を保つことができる」、「いかなる形の台湾独立に向かう分裂行動に対しても断固として抑え込む」などと発言したことで、これまでになく高まった。

 中国との関係が悪化した場合、台湾にとってまず「脅威」になるのは経済面だ。石主計長の発言の背後に蔡次期総統の対中政策に対する懸念があるのは間違いない。

 石主計長は14日、立法院(国会に相当)で答弁に立ち、2014年に大陸から台湾を訪れた観光客は339万人で、台湾側の旅行収入は1785億台湾ドル(約6175億円)に達した。15年も微増して、1846億台湾ドル(約6385億円)になった。大陸客は台湾の航空産業、宿泊業、飲食業、観光業に活気を与えている。観光客が減少すれば、「変数」が変わることになると説明。

 さらに「ただし、鍵となるのははやり(ショッピングなどの)消費金額がどれだけ減少するかだ」と述べた。石主計長は、「もしも今年(2016年)、大陸客が減少すれば、台湾経済と関連業界は影響を受けるだろう」との考えを示した。

 景気予測センターの孫主任は取材に応じて、台湾経済が大陸客に頼りすぎることの危険を強調。近年における大陸客の増大が台湾の内需拡大に大きく寄与したことは認めた上で、「日本や韓国なども大陸客を重視している」と、「大陸客の取り合い」という台湾にとって不安定な状況にあることを指摘。

 台湾は大陸客を頼りにするだけでなく、他の国からの観光客を主動的かつ積極的に呼び込むなどで、リスクの分散をする必要があると主張した。

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◆解説◆
  「92コンセンサス」は、中国と台湾当局が1992年に香港で達成した合意事項とされる。しかし、初めて公表されたのは2004年4月だった。

 1992年に在職していた李登輝元総統など、当時の関係者の多くが同コンセンサスを「存在しない」と否定した。

 さらに「92コンセンサス」については国民党と中国共産党で内容の理解が異なるという問題もある。国民党は、「92コンセンサス」は、単に「1つの中国」を主張するだけでなく、「1つの中国の意味の解釈については、双方がそれぞれの立場を持つ」内容が含まれると主張している。つまり、台湾側は「中華民国こそ中国の正統政府」の立場を放棄しないとの主張だ(一中各表)。

 一方の共産党/大陸側に「一中各表」を認める言動はない。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)