安倍の御用記者が待機児童問題でデマ

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 またこの人か──。安倍応援団として名高い時事通信社解説委員の田崎史郎氏のことだ。

 昨日15日放送の『ひるおび!』(TBS)で、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログに端を発した待機児童問題の話題になった際、コメンテーターとして出演した田崎氏は、こんな"トンデモ発言"を繰り出した。

「気をつけなければいけないのは、これいま、政府が真剣に調べているんですね。東京都の(待機児童は)7814人ですか。そのうちの3割の方々は保育園の第1希望しか書いてないんですね。で、第2、第3、第4、第5......とやっていくわけですけども、その第1希望になぜ集中しているかというと、いい小学校に入れるためにはいい幼稚園、その前にいい保育園に入れなければいけない、その人気の保育園に集中していて、そこに入ろうとすると結果的に待機児童になってしまうと。という面もあるんですね」

 いったい何を言っているんだろうか、この人は。というか、何から何までトンデモすぎる。「入園希望者の3割が第一希望しか記入していない」のが事実だとしても、そもそも7割は、複数を希望しても入園できていないのだ。また、第一希望しか書いていない人たちにしてもそれは自宅と保育園の距離の関係で、最寄りの一箇所以外には事実上通園が不可能なケースがあるためで、有名小学校のお受験とは何の関係もない。田崎氏は保育園不足をお受験問題と意図的に混同し、すりかえているのだ。

 田崎氏は「保育園落ちた」の現実がどういうものなのか、わかっているのか。愛知県名古屋市の40代のパート女性のこんなケースが、東京新聞で報じられている。

〈娘が七カ月のころからパートで働いていたが、常勤にしようと、昨年十月、区に入園を申し込んだ。申込書には、第一希望から第六希望まで園名を書けるが、書き入れたのは近所の一園のみ。申し込みの際、「昨年の状況からすると、入園できると思いますよ」と区役所の担当者から説明されたためだ。
 しかし、年明けに入園できないことを知らせる通知が来て、がくぜんとした。仕事の予定は変えられないため、週四日の時短勤務に変更。子どもは車で三十分ほど離れた認可保育園の一時保育に週三日預け、一日は母に来てもらっている。〉(東京新聞2015年12月18日付)

 名古屋市は昨年4月時点で「待機児童ゼロ」と言われていたが、実際には、通園時間に無理をきかせて第6希望まで書き入れても「全部落ちた」という保護者がいるのだ。

 にもかかわらず、田崎氏は"保護者がいい保育園に入れるため第一希望しか書かないのが悪い"というようなデマを平気で言う。本当に、どうかしているとしか思えない。実際、スタジオでも、この田崎氏のトンデモ発言の直後、瀬地山角・東京大学大学院教授が「それは、私の理解とは違いますね」と、このようにはっきりと反論していた。

「大都市の保育所というのは、もう圧倒的に足りません。私自身が現在保育所の運営をしておりますが、今年は(倍率が)十何倍でしたし、潮目が変わるような感じで待機児童が増えているというのは、ずっとここのところ思っています。だから、それこそ3箇所、4箇所申し込んで、兄弟が別々の園になっても、それこそ預けられるだけましみたいな世界ですから。その『第一志望だけで』というのは、ちょっと私の感覚とは異なります」

 スタジオでは、この反論に田崎氏が返答することもなく、司会の恵俊彰が流してしまったが、田崎氏の呆れるようなデマよりも、実際に保育所を経営するなかで現実に直面している瀬地山氏の言い分のほうが明らかに信頼できるのは、おそらく視聴者の共通した見方だっただろう。

 だが、どうして時事通信社の論説委員という肩書きの人物が、こんなトンデモ発言を行ったのか、もしかすると、田崎氏についてよく知らない人にはわからないかもしれない。であれば、本サイトとしてははっきりと言っておかねばならないだろう。

 ようするに、この人は、安倍政権を擁護するために、あえてそういう発言をしているのである。

 そもそも、田崎氏は安倍首相ともしょっちゅう一緒に食事するほどの、安倍政権の御用ジャーナリストの筆頭株。最近でも1月29日に平均予算ひとり2万円の都内フランス料理店で安倍首相と会食している。もちろん、田崎氏は単に個人的に安倍首相と仲がよい、というような甘っちょろい話ではない。

「番組に出るとき、田崎さんは『取材するとですね』などと言いながら、政策や政局の話題を語るでしょ。そのほとんどが官邸筋のリークだということは常識ですよ。今回も、『政府は真剣に調べているんですよ』と言いながら、あの『第一希望しか書いていない』云々を語っていたわけですから、明らかに官邸に吹き込まれたんでしょう」(在京テレビ局関係者)

 この田崎氏の"安倍政権のスポークスマン"ぶりは、特に昨年の安保法の国会審議中には凄まじいものがあった。『ひるおび!』以外にも、連日のように『とくダネ!』『直撃LIVE グッディ!』『みんなのニュース』(フジテレビ)、『報道LIVE あさチャン!サタデー』(TBS)、『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)などの番組をはしごし、"14年末の衆院選で安倍政権を選んだから安保法案は信任されている""次世代の党などが賛成していたのだから強行採決ではない"などと、一貫して世論形成に勤しんだ。

 こうした田崎氏の所業を知れば、今回の待機児童問題で「第一希望しか書いていないから入園できない」というような事実無根のデマを振りまいたことも納得できるだろう。いま、待機児童問題は、安倍首相の国会での「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」という逆ギレ答弁や、野党の質問中の与党議員らによる問題を取り上げること自体を封じるようなヤジの数々に、国民の憤りが爆発。一気に参院選に影響しかねない安倍政権の"急所"になった。

 田崎氏は昨日の『ひるおび!』でも待機児童問題が大きく世論を賑わしている状況について、フリップ内コメントで「(野党は)この問題は世論を引きつけている手応えを感じかさにかかってきている。やはり参院選を意識していると思う」などと述べ、政局的な動向にすり替えて議論自体を矮小化しようとしていた。

 だが、ひとつだけ言えることがある。待機児童問題は、田崎氏が狙うような、政局を見据えた政治家どうしのかけひきではない。実際、現在も多くの保護者の頭を悩ませ、入園できない児童を生み出し続けている喫緊の課題であることを、すでにほとんどの国民は理解している。そして、それは問題にまともに取り組もうとしない与党への怒りともに、御用ジャーナリストへの批判にも結びついている。

 事実、今回の田崎氏の『ひるおび!』での発言は、放送中からツイッターやSNSで「田崎という人の発言はおかしい」という多数の声がすぐさま上がった。それが、国民の怒りの証明だ。そして、その"怒り"が次に向かうのは、田崎氏が官邸や安倍首相とべったりであることを知りながら、政権を忖度して起用し続けるテレビ局だろう。

 国民はあなたたちが思っているほどバカじゃない。田崎氏にも、安倍首相にも、そうはっきりと言っておきたい。
(宮島みつや)