中国の李克強首相が政府工作報告の中で「匠の精神の育成」を取り上げたことが話題になっているが、中国メディアの今日頭条はこのほど、日本をはじめとする世界各国に見られる匠の精神を紹介し、日本の製品が中国の人びとを魅了する理由について論じた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国の李克強首相が政府工作報告の中で「匠の精神の育成」を取り上げたことが話題になっているが、中国メディアの今日頭条はこのほど、日本をはじめとする世界各国に見られる匠の精神を紹介し、日本の製品が中国の人びとを魅了する理由について論じた。

 記事はまず匠の精神が発揮されているとする事例として、複数の日本人の職人を紹介している。愛用の釜と熟練した技術で美味しいご飯を炊きあげることで評判の職人、ボロボロの古い本をアイロンやピンセットなどの道具を使って新品同様に修復する職人、また60年もの間、美味しいコーヒーをいれることに専念し続けている職人などだ。

 こうした職人に共通するのは、一生を1つの仕事に捧げつつ、高い品質を追求し続ける精神と言えるだろう。一方で記事は、中国にも匠の精神を持つ人がいると紹介。それはバイオリンやヴィオラ制作に携わる中国人の職人で、この職人の制作したバイオリンやヴィオラは世界的なバイオリンの製作コンクールで非常に優秀な成績をおさめている。
 
 さらに北京の故宮博物院で文化財修復に携わる専門家を紹介、この専門家は16才の時から39年間ずっと文化財に属する時計の修復に携わっている。同専門家は非常に高い修復技術を持っているため「文化財の医者」とも呼ばれている。こうした人びとの存在は、中国人のなかにも1つの仕事に打ち込み、品質を追求する人が存在することをはっきり実証するものだ。

 記事はさらにコーヒー豆の缶や様々な材料をウクレレやバイオリンなどの楽器にするニューヨークに住む米国人や、木の枝が伸びる方向をコントロールして椅子などの形に造り上げる英国の家具制作職人などを紹介。記事はこうした事例から「匠の精神」というぼんやりした概念に含まれる、想像力や仕事そのものへの愛を見て取っているのだろう。

 記事が列挙しているのは確かに匠の精神を示す事例といえるが、しかし事例の業種は特殊性の強いものばかりであり、匠の精神について誤解を生じさせる可能性も否定できない。何か特殊な仕事を始めないと匠の精神は発揮できないかのような印象を与えるからだ。

 温水洗浄式便座や電器炊飯器、また高品質で知られる日本の数々の日用品が消費者を魅了するのは、どの商品も消費者にすばらしい体験を提供することを目標にしているからであり、特殊な製品といえるものは何もない。消費者の幸せを追求するなら、匠の精神は中国国内のどのような仕事を通じても発揮することが可能だと言える。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)