「一方的に殴られる、痛さと怖さを教えてやろうか!?」
若さゆえの無鉄砲さと生意気さを持つ男、カミーユ・ビダン。作中、数々の大人たちをいら立たせ、26発殴られた。


『機動戦士Zガンダム』は登場人物がよく殴り、殴られる。全50話のうち81発のやりとりが確認できた。いったい誰が誰をどれだけ殴っているのか。以前は『よく殴られる人』ベスト10を発表した。今回は『よく殴る人』ベスト10を発表する。

集計結果をTOP10形式で紹介していく。カウントのルールは以下の通り。
●キック・チョップも回数のうちに入れる。一本背負いや武器を使ったシーンは無効。
●視認できたものだけをカウント。音しか聞こえない画面外のやりとりは無効。
●名前が設定されていないモブキャラは対象外。

ランキングは以下の通りになった。



第7位 ブライト・ノア


カミーユVSトーレス、サエグサで殴り合っているシーン。殴られっぱなしだったサエグサがこれからカミーユを殴ろうかというところでブライトさんがサエグサを殴り、ついでに起き上がってきたカミーユも殴り飛ばす。3人まとめて謹慎処分を言い渡し、争いを2発で終結させた。
エマさんやカツなど、作戦に口答えする者に対し、積極的に殴りに行こうとする傾向がある。
第7位はこのあと3人出てくる。このほかにもアムロとレコアさんも2発殴っているが、白兵戦の延長みたいな2発だったのでランク外とした。

第7位 トーレス


トーレス。下の名前なのか上の名前なのかは不明。ブライトさんの艦長席の隣に座っている男。
第21話。地球から帰還して浮かれ気味のカミーユに後ろから殴られた。2発目のカミーユの攻撃は鮮やかな上体反らしでかわして右カウンターを合わせる。サエグサに馬乗りしたカミーユの背中にノック攻撃(ドラゴンボールでよく見かける、敵を突き上げてから背後に瞬間移動し、両手指を組んで背中を強打するアレ)もしていた。2発で第7位。

第7位 フォウ・ムラサメ


カミーユと愛し合っている女性。軍の人体実験を受けている副作用で記憶が曖昧になったり、情緒不安定になりがち。36話でカミーユとともに軍から脱走しようとするも、薬が切れてしまう。
「目を覚ませ、フォウ!! カミーユなんだよ! 俺、カミーユ・ビダンなんだ」(ビンタ
殴られてもカッとせずに止めようとするカミーユ。しかし、フォウはサイコガンダムに乗って行ってしまった。
これ以外にも自らをナンバー4呼ばわりした軍曹を力強くビンタ。2発の張り手で第7位。

第7位 ハヤト・コバヤシ


「バカ野郎ッ!」(殴り
カツ・コバヤシのお父さんであるハヤト。初めての戦場にして無断出撃で味方を窮地に陥れてしまったカツをタダで済ませるわけにはいかなかった。
「ごめんなさい、父さん。で、でもね、ぼく見えない敵が見えたんだ! 本当だ!」
「黙れィ!」(ビンタ
殴られてもまだ言い訳を続けてしまったカツ。さらにビンタを受けてしまった。
謝罪のときに「でも」「しかし」を続けてしまうと説教の時間は確実に長くなる。親子間のやりとりで2発。第7位。

第6位 バスク・オム


「一般将校は黙っていろ!」
「ワシに指図するな!」
怪しいゴーグルをつけている体格のいい男。階級は大佐。居住地に毒ガスをばらまいたり、レーザーを照射したり、市民を大量虐殺する作戦をよく立てる男。悪の総帥的ポジションである。
ブライトさん同様、命令に不服の姿勢を見せると怒りやすい。違う点は、相手が誰であろうと必ず握りこぶしで殴ること。女性であるレコアさん相手でもガッツリと殴っていた。
このほかにもブライトさん、定年間近みたいな軍人も殴っている。3発で第6位。

第4位 ジェリド・メサ


もうすぐ街に核が落とされる。シャトルの前には人だかりができていた。しかし、ジェリドは命懸けの椅子取りゲームに遅刻してしまった。
「力のない者は死あるのみ! 力のない者h…ウッ」
一段一段人の山をじりじりと登っていくが、先客から殴られる。ジェリドも上の人間を殴り、足を引っ張るやつは蹴り飛ばし、着実に歩を進めてなんとか乗り込めた。
これ以外には第1話でカミーユの眉間につま先蹴り。ティターンズ(ジェリドの所属組織)を批判した少年を殴打。合計4発の第5位。

第4位 シャア・アズナブル


「うおっ」ビシッ バシッ ドカ バキッ
「もう一度言ってみろ! カミーユ」
カミーユの悶えと炸裂する打撃音(目視できたのはボディブローとビンタ)。
シャアのミスで敵に監禁されてしまった仲間たち。なんとか抜け出すため、シャアは一芝居打とうと言い出す。敵の油断を誘うため、仲間割れしているように見せるのが狙いだった。
カミーユが殴られてくれたおかげで脱出は成功。次の回ではカミーユに殴られることになる。
これ以外にも白兵戦で2発。ジェリドと同数で4発。第4位。

第3位 ウォン・リー


「そのガキ待ちな!!」
ミーティングに遅刻したカミーユに、ダッシュで一気に距離を詰めてビンタしたウォンさん。さらに追い打ちでローキックを2発。逆上して襲い掛かってきたカミーユから1発くらうもカウンターを入れてダウンを奪う。
それでも口数の減らないカミーユにしつこくローキック。さらに顎につま先蹴りを入れるとついにカミーユが白目をむいた。とどめは腹蹴り。失神KO。
カミーユにもっとも肉体的暴力を加えたウォンさんは次回作でも登場する。相変わらず不届きな若者を成敗しようとするが、思わぬ返り討ちにあうことになる。対カミーユ戦の7発で第3位。

第2位 エマ・シーン


「修正?」
「殴って気合を入れることよ」
軍に入ってまだ右も左もわからないカミーユに『修正』の意味を優しく教えてあげたエマさん。カミーユには出会って10秒でビンタをしている。
「感情に任せて生きることなら、誰にだってできますっ!」
「パンパン人をひっぱたく人の言うことですか?」
第40話で6発目を受けて論破にかかるカミーユ。しかし、これがエマさん最期のビンタになるなどとは、カミーユは知る由もなかった……。
これ以外にも口答えをするファに2発のビンタ。ウォンさんに1ポイント差で勝利。第2位。

第1位 カミーユ・ビダン


「歯ぁ食いしばれ! そんな大人、修正してやる!」
エマさんから「修正」の意味を教わったカミーユはその3話後、早速実践に移る。相手は上官、シャア・アズナブル。身分を偽る大人にみっともなさを感じ、ついつい殴ってしまった。
作中で14人に暴行を加えていたカミーユ。空手経験者だけあって手刀、一本背負い、正拳突きなど、武士道を感じさせるような攻撃が多い。
ビンタをしたのは一度だけ。女の子の部屋をのぞき見してミーティングに遅刻したカツに対してである。
大昔の教育現場はビンタを見かけることがチラホラあった。カツに対してのビンタも教育的な意味合いが含まれていたことを考えると、カツのことを弟のようにかわいがっていたのかもしれない。殴られた部門に続いて二冠達成。

よく殴る人の『得失点』をグラフ化した結果



殴った回数の多い登場人物は、基本的にはそんなに殴られない。
「軍隊というところは理不尽なところよ!」
と説いたエマさんに関しては被弾0。上下関係をうまく利用して殴っている。
一方、カミーユ、ジェリド、ブライトの3名は勝ち越しができなかった。カミーユはウォンさんに、ジェリドはライラに、ブライトさんはカツに、それぞれ殴り損ねがある。
生半可な気持ちで殴りかかるから、よけられて殴り返される(ブライトさんはまったく関係のないところでリンチされた)。「殴っても、絶対に殴らせないぞ」という覚悟、威圧感をもってこぶしを握らなければならない。大人は勝てる相手としか勝負しないのだ。
4月からは朝7時よりテレビ朝日系で『機動戦士ガンダムUC』がスタートする。主人公のバナージ・リンクスもカミーユほどではないが、目上の人に多少の暴力は振るうと思う。
(山川悠)