「職人」、「匠」という言葉が使われた宣伝文句を見ると、何となく高級感、「本物感」を抱くということはないだろうか。それは、これらの言葉に少なからぬ文化的、経済的価値が備わっていることを表しているともいえる。中国でも日本の「匠の精神」がしばしば、技術向上や仕事に対する心構えとして学ぶべきだと論じられている。(イメージ写真提供:123RF)

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 「職人」、「匠」という言葉が使われた宣伝文句を見ると、何となく高級感、「本物感」を抱くということはないだろうか。それは、これらの言葉に少なからぬ文化的、経済的価値が備わっていることを表しているともいえる。中国でも日本の「匠の精神」がしばしば、技術向上や仕事に対する心構えとして学ぶべきだと論じられている。

 中国メディア・捜狐は11日、古代中国を源とする手工業技術や心構え、すなわち「匠の精神」が今や中国で廃れてしまったの対し、日本では今もなお脈々と息づいているのかについて論じた文章を掲載した。

 文章は、日本も中国も同じ近代工業のインパクトに晒され、危機に直面したにもかかわらず、「匠の精神」が日本でさらに広がりを見せた理由として「職人の育成、作業場の存続、社会的な環境といった要素」が欠かせなかったと説明。職人育成については、1950年代に制定された「文化財保護法」により「重要無形文化財保持者」すなわち「人間国宝」制度が設けられたことを挙げ、国宝級の技術を持つとともにその伝承や弟子育成に力を入れる「匠」を認定し、政府が資金援助を行っていることを紹介した。

 また、作業場の存続という点では、日本の多くの民間技術者が戦前まで日本で厳格に行われてきた「長子継承制度」を続け、大部分の財産を継承者である長子に与えることで内紛や財産の分散を防いできたと説明。さらに、規模拡大志向の強い中国企業とは異なり「小さく美しく」を旨としていることも要因の1つであるとした。

 そして最後に、「安定した社会環境があってこそ、技術や『匠の精神』の伝承が可能なのだ」とし、長期間にわたる伝承、安定した業界と顧客群との相互作用によって、信仰、規律、儀式といった「匠の精神」の重要なコンテンツが形成されてきたと論じた。

 一番大事なことを最後に書く、という記述方法は様々な場面でよく見かけるが、「匠の精神」が続く理由として文章が挙げた要素のうち、もっとも大きいのは最後の「安定した社会環境」ではないだろうか。近代以降中国では列強による干渉に伴う戦乱が続き、中華人民共和国建国以降も大躍進政策の失敗、文化大革命の混乱と「安定した社会環境」を築くことが出来なかった。「匠の精神」を学ぶことは大いに結構なことであるが、その精神が生息でき、発展できる社会環境を整えることが、中国が抱える課題とも言えそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)