男性は店内で食事をしていた。米飯の上に蛙の肉の炒め物を乗せた料理だ。おや? 口の中に違和感を感じた。異物を口から出して眺めた。絆創膏だった。血がにじんでいた。使用済みだ。男性はとたんに、気持ちが悪くなった。浙江省のメディア、現代金報などが伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 男性は店内で食事をしていた。米飯の上に蛙の肉の炒め物を乗せた料理だ。おや? 口の中に違和感を感じた。異物を口から出して眺めた。絆創膏だった。血がにじんでいた。使用済みだ。男性はとたんに、気持ちが悪くなった。浙江省のメディア、現代金報などが伝えた。

 「事故」が発生したのは浙江省寧波(にんぽー)市中心部の江北区万達成広場の飲食店。10日のことだった。「血のついた絆創膏」を食べさせられた男性のXさんは、ただちに店の責任者を呼んで抗議/交渉した。

 店側は、「調理師が手の指に数日前にけがをして、絆創膏を貼っていたが、調理中に脱落して料理の中に入ってしまった」と認めた。そして、「男性に万一、健康被害が出た場合」の備えとして、事故発生を証明する一文を提案した。文案には店名とともに「食事の際、口に入れた料理の中から雑物が出てきました。もしも家に帰って夜に、気分の悪さを感じたら、いつでも店にご連絡ください」と書かれていた。

 Xさんは納得しなかった。「雑物」ではなく「使用済の絆創膏」と具体的に書くよう求めた。店側は拒否した。そこで、Xさんは店側の書いた紙の画像をインターネットで公開し、「事故の顛末」を説明した。

 Xさんによると医師も、「仮に何らかの病気に感染した場合、潜伏期があるはずだから、その日の晩に異変が起きた場合にだけ対応するという店の主張は、全く科学的ではない」と批判したという。

 問題を起こした飲食店は、インターネットで話題になると、Xさんとの和解を求めてきたという。しかし、Xさんが「当面1週間に1度は病院で検査する。その場合の検査費用」、「仕事を休むことに対する補償と交通費」などを求めたところ、相手の会社側は応じなかった。

 双方は13日になってやっと合意した。会社側の支払額などについては明らかにされていないが、Xさんは合意の条件を履行するとして、同件についてのインターネットへの書き込みを削除した。

 江北区当局も同件について調査を実施した。店側に事情を尋ね、経緯はXさんがインターネットなどで発表した通りと確認。飲食店側の経営許可などについては、きちんと取得しており問題なかったという。当局は、周辺の飲食店すべてに対して検査を実施する考えという。

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◆解説◆
 傷口には、黄色ブドウ球菌などが繁殖することが多い。黄色ブドウ球菌そのものは加熱により死滅させることができるが、菌が作り出す毒素のエンテロトキシンは、通常の加熱では分解しない。エンテロトキシンは激しい嘔吐を伴う食中毒の原因になる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)