フレッシャーズ編集部

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近年よく耳にする「みなし残業制度」ですが、きちんとその仕組みを理解しておかないと、会社の誤った制度運用で労働者側が損する可能性があります。今回はこの「みなし残業制度」の実態を改めて確認してみましょう。

■「みなし残業制度」とは?

コンサルタントや研究職のような労働時間の長さによって賃金を決めることが難しい職業や、単純な労働時間よりもその成果を評価しようという成果主義の考え方に基づいて、近年広まりつつあるのが「みなし残業制度」です。「みなし残業制度」は、実務時間にかかわらず、あらかじめ取り決められた額の残業代が経営者から労働者へと支払われる制度です。しかし、この制度「何時間残業させても一定の賃金しか払わなくてもいい」という風に悪用されてしまうと、労働者が大きな損害を被ることになります。そうしたトラブルを防ぐためのルールがいくつも設けられているので、基本的なものを以下で押さえていきましょう。

■みなし労働時間制の対象ではない業務や勤務がある

「みなし残業制度」は、労働時間の把握が難しい研究職などの専門職や、企画職に対してのみ適用できる制度です。したがって、労働時間を把握することができる営業職や事務職に対してはこの制度を適用することができません。また、「みなし残業」として扱えるのは通常の残業代のみです。したがって、深夜労働手当や休日出勤手当は別途支払われなければなりません。

■「みなし残業」を超える残業を行った場合、不足する残業代を請求できる。

「みなし残業制」を適用しているからといって、全ての残業代が基本給に含まれているわけではありません。毎月支払われている「みなし残業代」が、何時間分の残業に対する賃金なのかを確認しましょう。基本給28万円(うち6万円は「みなし残業代」とする)、もしくは、基本給28万円(25時間分の残業代を含む)というような記述が雇用契約欄にあるはずです。実際に残業した時間の方が長い場合、不足する残業代を請求することができます。

■トラブルへの対処方

対策としては、まず毎日の労働時間を自分で記録しておくことです。そうすれば万が一の時、労災を立証する証拠として扱われます。また、法で定められている内容と食い違う部分があればその点を指摘し、場合によっては、みなし労働時間制の適用を解いてもらうことができます。その際、過去に支払われた残業代が、本来の残業時間に対して不足していれば、差額を求めることができます。

注意したいのが、「雇用契約書が交付されていない/みなし残業代の時間数などが明記されていない」場合です。この場合、「みなし残業制度」自体が無効になります。制度が無効になった場合、労働者は全ての残業時間に対してその賃金を請求することができます。こうしたことから、やはり労働時間を自分できちんと管理することが鍵だと言えるでしょう。

いかがでしたか? 労働者は、その労働に対する賃金だけでなくその健康も保証されなければなりません。「みなし残業制度」をきちんと理解し、金銭的な不利益を被ることはもちろん、健康を損なうような最悪の事態は未然に防ぎたいですね。