公衆電話はスマホよりスゴい?  イマドキの若者は使えない公衆電話が消滅しない意外な理由

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スマホや携帯電話は普及する以前、緊急連絡の主役は「公衆電話」だった。
以前は、駅など、人の集まるところには、ずらーっと公衆電話が並んでいた。街を歩けば、普通にあちこちに電話ボックスがあったものだ。

しかし、今では、「公衆電話」を見かけることは非常に少ない。
これは、携帯電話やスマホが普及したからだ。

●イマドキの若者は公衆電話を使えない?
自分専用の電話があるのに、わざわざお金を出して公衆電話を使う人はいない。
当たり前と言えば、当たり前の話だ。

ふと気づけば、自分だって最後に公衆電話を利用したのはいつのことやら。
もはや、思い出すことすら、できない。

そんな状態なのだから、最初から通信手段にケータイやスマホがあるイマドキの若者が、公衆電話の使い方を知らないというのはうなずける話だろう。
テレホンカードに至っては、見たことがない。そんな人もたくさんいるはずだ。

●なぜかなくならない 公衆電話
誰も使わないのなら、採算も取れないはず。
それならいっそなくした方がいいんじゃないだろうか?
と、思えるが、それでも公衆電話が、無くなってはいない。

実は、「公衆電話」は、電気通信事業法により設置が義務づけられているのだ。
市街地では500メートル四方に1台、それ以外の地域ではおおむね1キロメートル四方に1台を目安に設置されている。

なぜわざわざ国が設置を義務づけているのか?
それは公衆電話は“災害に強い”という理由からなのである。

●災害時につながりやすい公衆電話
5年前の東北大震災の日。家族に連絡を取ろうとしても、なかなか携帯電話やスマホがつながらず、不安になった人も多いと思う。

これは一次的な大量の電話利用により、通信回線が混み合ったことから通信規制が実施されたためだ。

ところが、「公衆電話」は通信規制の対象外なのだ。
つまり、災害時でも優先的に取り扱われるため、携帯電話やスマホよりもつながりやすいというわけ。
このことは、いざというときのためにも、ぜひとも覚えておくべきだろう。

また、公衆電話は、停電時でも電話をかけることができるのだ。
公衆電話には、NTT東日本、NTT西日本の通信ビルから電話回線を通じて電力を供給されているからだ。
さらに、災害の程度によっては、通話が無料化される可能性もある。

●いざという時にきちんと使えるようにしておこう
「天災は忘れた頃にやって来る」のことわざにもあるように、災害はいつやってくるかわからない。

いざ災害時になり、公衆電話が必要になっても使い方が分からないでは、せっかくの災害に強い「公衆電話」の意味がない。
万が一に備えて、使い方を確認しておこう。

『受話器を上げ、硬貨かテレホンカードを投入し、電話番号をダイヤルする』
なんら難しいことでは全然ない。

しかし、一度もやったことがなければ、緊急時に即座に動けるか、使えるかは怪しい。
避難訓練などと同じで、一度くらいは、実際にかけてみるのも大事な備えだろう。

また、普段の生活、行動範囲で、どこに公衆電話が設置されているかを確認しておくことも大事だ。そして、できれば、財布やパスケースの中に、1枚はテレホンカードをしのばせておきたい。