顔を切りつけられた女児。傷は一生残るという……

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 中国でアニメをめぐり、凄惨な事件が起きた。
 
 2月15日、陝西省漢中西郷県に住む10歳の女児が、中国産アニメ『熊出没』のキャラクターに影響され、家庭用のチェーンソーで5歳の妹の顔を切りつけるという事故が起こったのだ。これを受け、同作に対し、規制を求める声が高まっている。「京華時報」(3月9日付)などが伝えた。

 悲劇は、周囲を山々に囲まれた農村で起こった。事故当時、母親は台所におり、女児とその妹は目の届かない庭にいたという。妹の悲鳴を聞いた母親が庭に駆けつけると、妹は鼻から右頬にかけて一文字に深く削られ、パニック状態だったという。欠損部分も大きく、治療に当たった地元の医師は「治癒しても深い傷痕が残り、重いハンデを負うことになる」と話している。

 同アニメの影響とされる子どものチェーンソー事故は、今回だけではない。昨年8月にも10歳の男児が自身の首を切りつけ、動脈までわずか1ミリという間一髪の負傷事故も起こっている。その男児を診た医師は「傷口から動脈が大きく波打つのが見えるほどだった」と話している。

 では、その“凶暴”なアニメとはいったい、どんなものなのか? 2012年から放映が開始された3Dアニメ『熊出没』(深セン華強数字動漫有限公司制作)は、中国産アニメとしてはかなり成功している作品だ。安っぽい作りの3DCGで、中国産アニメには珍しく暴力シーンもあり、登場人物の言葉遣いもよろしくない。だが、そんなところが子どもたちにはウケているようで、14年に公開された映画版は、中国産アニメとしては過去最高の興行成績を記録。今年年始に封切られた最新作も、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を抜く人気となっている。現在ではイタリアやマレーシア、中東にも輸出されるほどだ。

 このアニメに出てくる人気キャラクター『光頭強(Logger Vick)』は毎回、チェーンソーや斧、パチンコなど、さまざまな武器を使用しており、子どもが真似をしてしまうというわけだ。14年3月には、2歳半になる男児が「光頭強」の真似をして斧で2本の指を切り落とす事故が、同年7月には、7歳の男児がアニメシーンを真似て扇風機の中に手を入れる事故も発生している。相次ぐ事故に対し、複数の専門家は「年齢制限を設け、14歳以下の子どもに見せないようにすべきだ」と規制を呼びかけているが、現在のところ当局は沈黙を守っている。

 中国産アニメの稀有な成功例として注目を集める本作品だが、規制されるのは時間の問題かもしれない。
(文=五月花子)