画像は「Warm Snow + Siam's Eye」LA’CRYMA CHRISTI  by amazon

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1990年代を代表する音楽ジャンルといえば、ずばりヴィジュアル系だろう。X JAPANやLUNA SEAといった日本を代表するビッグバンドは、90年代に人気を博し一つのジャンルを築き上げた先駆者だ。

とくに90年代後半はV系黄金期とされ、歴史に名を残す「神バンド」がしのぎを削った時代である。そのころ、「四天王」と呼ばれたバンドを振り返ってみよう。

MALICE MIZER


まずは、「マリスミゼル」。このバンドはGacktがボーカリストを務めていたことでもよく知られている。軍服風の衣装や、中世ヨーロッパ、ロココ調の衣装、縦ロールの巻き髪、王子様のような出で立ち……などなど、耽美な世界観で熱狂的な信者を獲得したバンドだ。

楽曲はクラシックの要素を多分に含んでいるため、好きな人にはたまらない。Gacktのイケメンボイスも当時から健在だったことを実感させてくれる。非日常的な別世界への憧れがある人は、ぜひ一度聴いてみてほしい。

SHAZNA


ここ数年、バラエティ番組で妻・吉岡美穂と共にその姿を見ることも多いIZAMがボーカリストを務めたバンド、「SHAZNA」も四天王のひとつだ。シャズナといえば、イザムの甘くねっとりした歌声が印象的な代表曲「Melty Love」が有名で、見た目に反してポップスの要素が強い。V系ファンだけでなく、一般のファンも多かったのがシャズナの特徴で、女の子のようなイザムを真似てコスプレするファンも多かった。

2013年には、バラエティ番組「解禁! 暴露ナイト」(テレビ東京系)に出演したIZAMが当時のギャラを暴露し話題を呼んだ。ストラップなどのグッズが数百億円単位で売れたものの、固定給だったためその売り上げは1円も収入にならず、手取り45万円の給料と、CD印税、そしてカラオケ印税が主な収入源だったという。

「Melty Love」以外にも、「White Silent Night」などの楽曲を耳にすれば、「うわ〜なつかしー」と言いたくなること間違いなし。

La'cryma Christi


さらに、四天王の一つに数えられるのが、「ラクリマクリスティ」である。バンド名の意味はラテン語で「キリストの涙」。

「お腹空きマクリマクリスティ〜!」「やばーい、雨降りマクリスティなんだけど!」「今夜はカラオケしマクリマクリスティ〜!」、などなど、ラクリマの楽曲に触れたことがない人ですら、こんなギャグを口走ったことがあるのでは? 

ギリギリいまのアラサーに通じる言葉遊びかもしれないが、アラサー以上の人と話す機会があったら取り入れてみては?

ちなみにバンド名は「ラクリマクリスティ」であり、けっして「マクリマクリスティ」ではないので言い間違えには気をつけよう。

ラクリマといえば、高い演奏技術で有名だが、楽曲の幅もひろく、ハードロック的なものからプログレ要素を含むものまで多様。神秘的な雰囲気も人気の秘訣だった。V系に偏見がある人も一度聴いてみては?

FANATIC◇CRISIS


四天王最後のひとつが、「ファナティッククライシス」である。“いわゆるV系”なビジュアルではなく、ポップでオシャレ感のある出で立ちが印象的だった彼ら。メイクも薄く、V系というよりも「カッコイイお兄ちゃん達のロックバンド」というイメージだろうか。

他のバンドに比べてもポップスの要素が強く、コテコテしたV系が苦手な人や男性にも支持があついバンドでもある。「つっくん」ことボーカルの石月努は、身長178cmというスラリとしたルックスと、低音ボイスに定評があった。音楽活動を離れてからは、アパレル関係の仕事をしているようだ。

以上、それぞれまったく別の個性を放っていたV系四天王。今、ヴィジュアル系といえば、「ゴールデンボンバー」や「シド」「ナイトメア」などが有名なのかもしれないが、90年代のヴィジュアル系に触れたことがない人でもぜひ四天王の楽曲を聴いてみてほしい。意外にも、「うおお、かっこええ」と唸ってしまうはずだ!
(野中すふれ)
※画像はamazonより「Warm Snow + Siam's Eye」LA’CRYMA CHRISTI