糸井重里氏

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11日放送の「特集 明日へ つなげよう」(NHK総合)で、糸井重里氏が、番組の演出に苦言を呈した。

番組では、震災から5年が経過した被災地の現状をVTRで紹介。55の市町村の今と、そこに暮らす人々の思いをリポートしていた。VTRでは主にピアノの落ち着いたメロディーがBGMとして使われ、伊東敏恵アナウンサーがナレーションを務めた。

VTR後、宮城県気仙沼市に通っているという糸井氏は「変なことを言いますけど」と切り出し、「この音楽で8割が復興したって話をされても、2割の悲しみしか伝わってこない」「悪いけど、こういう撮り方は、地元の人は『やめてくれ』って言ってるんですよ」と語った。

そして糸井氏はナレーションについて、普通の声色で語るべき部分も、あえて暗い語り口だったことを指摘。司会の伊東アナが「すみません、ナレーションしたの私なんで」と苦笑いしながら申し出ると、糸井氏は「ご本人を前にして、あえて言うけども」「(被災者が)『この街を撮ってくれ』って言ったときには、(こうした演出には)ならないと思うんですよね…」と漏らした。

糸井氏は「もちろん悲しい部分は残ってる」「追悼の日だから僕らも祈る気持ちがあってやってる」と、一部の悲しい現実は認める。だが「その文脈に全部入れてっちゃったら『ここまできた』って喜んでる人たちの表情が見えてこない」と訴えた。これには、伊東アナも「分かります」と同意していた。

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