10日、韓国囲碁界の天才棋士・李世ドル九段が、人工知能のコンピューターソフト「アルファ碁」との対局で2連敗を喫したことを受け、韓国人の間でうつや無気力症状を訴える「人工知能恐怖症」が広がっている。資料写真。

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2016年3月10日、韓国メディア・韓国経済によると、韓国囲碁界の天才棋士・李世ドル(イ・セドル)九段が、グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャーによるコンピューターソフト「アルファ碁」との対局で2連敗を喫したことを受け、韓国人の間でうつや無気力症状を訴える「AI恐怖症」が広がっている。

「李世ドルが負けたのを見て涙が出そうになった。同じ人間として屈辱を覚えた」と語るのは、ある大学院教授。「囲碁は高度な精神力の闘いだから、まだ人間が優勢だというぼんやりとした期待があった」と語る会社員の男性も、「人間としてのプライドが傷つき、一日中憂鬱(ゆううつ)だった」という。韓国の科学哲学者の一人も李九段の敗北は「大きな衝撃」とし、「人間だけの能力と考えられていた直感、創造性、意思疎通まで機械が超越できるということを示した人類進化史の事件」と表現した。

この「歴史的敗北」を受け、韓国では「自分の仕事がいつかAIに代わられるのでは」との不安も広がっているという。就職活動中の学生の一人は、「労働のかなりの部分を機械が代替するかもしれないのに、職業に就くということ自体に疑いを持った」と語った。

一方、こうした不安に対しては「限られた囲碁という分野でのAIが勝ったことの意味を誇張する必要はない」など、AIはまだ恐れるに足りないという専門家の声もある。韓国のネットユーザーからも、賛否さまざまなコメントが寄せられた。

「もちろん今の時点ではコンピューターが人間を思い通りに扱うなんてことはできないけど、この発展は恐るべきスピードだ。10年後が恐怖であることは事実」
「僕だけじゃなかったんだ…。李九段が負けるのを見て、本当に何もやる気がなくなって怖くなったよ。グーグルは今自分たちが何をしてるのか分かっているんだろうか?」

「僕も気が抜けた。グーグルは囲碁なんかじゃなくて翻訳ソフトについてもっと研究すべきだよ。なんでよりにもよって韓国人棋士を相手にしたのか…」
「映画『ターミネーター』の監督は天才だね。こんなことを予見してたなんて」
「結局は金持ちだけが世の中を支配する」

「がっかりすることはない。逆に考えれば、完璧なコンピューターを相手に李世ドルがあそこまで対抗したのは立派。彼は歴史的なことを成し遂げたとも言える。機械も結局は人間が作り出す物だしね」
「機械がブルーカラーの仕事に取って代わるというのはよくある錯覚。むしろホワイトカラーの職業の代わりこそ機械の得意分野だよ」

「スティーブン・ホーキングはかつて『人口知能の開発は人類の終わりを意味する』と言った」
「AIの開発は核開発と変わらないと思う。核も間違いではないけど、使う人間がどう使うかに懸かっている」
「天才だって負けるのに、平凡な人間にどうやってAIに勝てと?」(翻訳・編集/吉金)